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APICSを活用する――世界有数の企業も認める“洋魂和才”のSCM基盤生産管理の世界共通言語「APICS」とは(5)(4/6 ページ)

サプライチェーンマネジメント(以下SCM)の体系的な知識を提供するAPICSを専門家が解説していく本連載。5回目は「APICSを活用する」価値と効果について解説する。

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APICSのブランド価値

 次に「日本で普及していないAPICS資格取得に価値があるのか?」という疑問に答えるため、以下の表3にSCM World誌による調査結果を示す。

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表3 SCM World's Top 10 Associations抜粋(クリックで拡大)出典:APICS公式サイト

 同調査において、調査対象者であるサプライチェーンに関わる実務家は、SCMにおける能力指標、そして学習機会提供の観点で高く評価する組織を評価順に3つ列挙しなければならない。331人の回答結果をもとに、評価順の1位に3、2位に2、3位に1を掛ける重み付けをし、整理した結果の一覧が表3である。数多くのSCMに関わる標準化、教育、資格推進団体の中で、APICSが2位以下に約500ポイントの差をつけ、圧倒的な1位に位置付けられている。2位には、2014年にAPICSと合併した旧Supply Chain Council(SCC)がランクインしている。

 3位のISM(Institute of Supply Management)や4位のPMI(Project Management Institute)は、日本でも比較的有名である。特にPMIの認定資格であるPMPは、多くの日本企業、個人に支持され、2014年7月現在、国内の有資格者数は3万1956人となっている(出典:PMI日本支部公式サイト)。しかし、こうした組織と比較しても、APICS、旧SCCが、世界のSCMに関わる実務家の間でより高く評価されていることは理解できる。つまり、SCMの領域におけるAPICSのブランド価値は、世界的に最も高いといえる。

個人にとってのAPICS認定資格の価値

 それでは、個人の就職、昇給の観点で、APICSの認定資格取得の有効性はどうだろうか。表4に、CPIM、CSCP有資格者が、報酬、就職の観点でどれくらい評価されているかを示した「APICS、University of North Carolina Wilmington」の2012年末の調査結果を示す。CPIM、CSCP有資格者は、いずれも資格非保有者と比較して、10%以上高い報酬と雇用提供機会に恵まれていることが分かる。

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表4 CPIM、CSCP有資格者の年収・雇用機会獲得への影響度合い(クリックで拡大)
 出典:APICS Operations Management Employment Outlook, APICS and University of North Carolina Wilmington, Year End 2012;APICS公式サイト

※)調査対象者:世界の3万7000人のSCMおよびオペレーションマネジメント担当者をランダムに抽出

 本調査の客観性を裏付ける調査結果も存在する。ISMによる2013年の類似の調査、「ISM's 2013 Salary Survey」では、ISM認定CPSM有資格者の平均年収は、資格非保有者の平均年収に比べ「9.6%高い」という結果が示された。同時にAPICS認定CPIM有資格者の平均年収は、資格非保有者の平均年収に比べ「15.8%高い」という結果も報告されている。APICS有資格者の優位性があらためて示された結果といえる。

 このように、世界的には、APICS有資格者は、報酬、就職の面で報われているといえる。世界に目を向けた時に、APICS認定資格は、多忙な実務家であっても、貴重な時間と費用を投資し取得を目指す価値のある資格といえる。

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