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自走するプロジェクターは家電か、それともロボットか?――Cerevo岩佐氏に聞くロボットキーマンを訪ねて(2/4 ページ)

家電とロボットの境界をどう捉え、新しい製品をどう投入していくか。ロボットの市場を“ホーム”に拡大していく鍵はそのあたりにありそうだ。

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 また岩佐氏は、現状、家電メーカーの持っている技術といわゆるホームロボットといわれる分野で使われている技術に大きな差はないのではないのかと指摘する。基本は駆動部の処理とソフトウェア処理であり、ルンバの「衝突検知をしながら位置を記憶して移動する」というロジックと、「こちらの空気のほうが冷たいから、先に暖めよう」というエアコンとどう違うのか。基本の技術に大きな違いがあるわけではないとする。

 ここ数年で、コミュニケーションロボットと呼ばれるホームロボットは種類も数も増えてきている。そのロボットという言葉に引っ張られて、既に身のまわりに普及している家電よりも難しい技術が使われているものと思いがちなのだが、「それは違う」という。

岩佐氏 みなさんが想像されているよりも、身のまわりにある電化製品を作るのは本当に難しいことです。ロボットと言っても、家電製品に比較にならないほど技術的に難しいものばかりではないということです。逆に、身のまわりの電化製品が技術的に浅く見られてしまう。スマートフォンってそんなに難しくないんでしょと。

 実際にゼロからスマートフォンを作るコスト、リソース、人件費などを考えると、Pepperは除くとして、世の中にホームロボットとして出ているようなものより、スマートフォンのほうがはるかに開発費はかかっていると思います。

 それならなぜ、ロボットが身のまわりに増えてこないのか?

 それは「誰にも、売れるかどうかよく分かっていないから」だ。

 家電メーカーに限らずだが、通常、製品開発はマーケットの実績を重視して行われる。スマートフォンであれば「新製品を作れば少なくともxxx万台は売れるでしょう、なぜなら前のモデルがこのくらい売れているから」という推測からの試算ができる。投資とそれに対するリターンがある程度見えたところで、はじめてチャレンジできる。ただ、ホームロボットにはまだマーケット自体がない。

 岩佐氏がCerevoを立ち上げたのも、そこに理由の一端がある。

岩佐氏 “売れるかどうか分からないけれど、世の中ないから作ってみよう”という0から1を作るアプローチが個人的にすごく好きなんですが、なかなか大企業の中にいるとそれが難しい。

 そういう「0→1」でものを作るのは、小さな組織体が得意なんだろうと思いながらも、大企業の中でいろいろもがいている中で、小さな組織をゼロから作ったほうが自分のやりたい「0→1」ができるかなと思ったんです。

 Cerevoが目指す方向性は「ネットワークとコンシューマーエレクトロニクス(家電)で、もっと生活を便利に、豊かにすること」であって、そこにカメラがあってもいいし、ロボット的なものが出てきてもいい。そこで、Tipronなのだ。

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