「SoC」or「SoC」?統合へのさまざまな道:SYSTEM DESIGN JOURNAL(4/4 ページ)
1つのダイに複数機能を実装するSoC(System on Chip)化の波は高まるばかりです。アーキテクトはダイ間接続とマルチダイパッケージングの動向に注意を払い、コストや消費電力、将来性までも視野に入れた選択をしなければなりません。
幾つかの未来
もう1つの可能性は、いわば回路ボードとその限界を超えることです。McMorrow氏は、既存のビルドアップ技術により、回路ボードのレベルのはるか上に電気または光コネクタの層を備えたウイングパッケージを製造可能と指摘します。そうすれば、高速シリアルチャネルをボード外の独自の制御環境で引き回すことが可能になります。
ウイングはMcMorrow氏の本命の解決策であるTwinax銅線ケーブルの推進にも役立ちます。同氏の主張によれば、既存のケーブルは回路トレースの3〜4倍の性能を備えています。また、重要な信号は配線した方が、実際に高コストの特殊な回路ボードに切り替えるよりも低コストと述べています。
原理上、光インタコネクトはさらに有望な選択肢です。しかし、電気光学トランスデューサモジュールはボード間レベルで使用するには大きすぎますし、光リンクを備えたボードの製造に対応するインフラもありません。応用では光学部品をICに統合する必要があります。つまり、シリコンフォトニクスです。実際、光変調器、アド/ドロップ・マルチプレクサ、スプリッタ、導波管、検出器をシリコン・チップ上に製造する方法は分かっています(問題は光源で、オフダイにする必要があります)。
東京大学 荒川泰彦氏の研究グループは、解決策が実現する見込みであることを示唆しています。それは、ダイ表面上の半導体量子ドットを利用する方法です。事実上、各ドットは1個の電子を閉じ込めて移動できなくします。運動の自由度を奪われた電子は、基本的に熱エネルギーを持たず、量子状態の変化によってエネルギーを与えるか、受け取ることしかできません。
そのようなドットの2次元配列は、優れたスペクトル純度を備え、温度依存性が極めて低く、光通信に最適な半導体レーザーを形成します。そうしたレーザーにより、ウイング・パッケージ用のダイ上に完全なマルチチャネル光トランシーバーを製作することが可能になるはずです。
しかし、光ファイバーとダイのアラインメントや取り付けに関する機械的な問題がまだ残されていて、現在の解決策ではスペースを取るほか、巧妙な組立手法が必要です。例のごとく、この基本的に機械的な問題は、電気的問題や光学的な問題よりも扱いにくいことが判明しつつありますが、解決策を検討中かもしれません。
豊富な資金を持つ新興企業のKeyssaは、60GHz無線トランシーバーを接触寸前の距離で使用してデータ転送を行っており、EMIを無視できるレベルに抑えながら6Gbpsのデータレートを達成したと主張しています。Keyssaは現在、ボードエッジコネクタやデバイス間ケーブルを置き換えることに焦点を当てていますが、同社の技術は別の可能性も示唆しています。ポイント・ツー・ポイントの短いマイクロ波リンクのネットワークが上に浮かんだ回路ボードを想像してみてください。リンクは、ウイングパッケージの上面に成形されたアンテナから発せられます。
最善の解決策となるのが何であれ、ダイ間接続とマルチダイパッケージングがSoCのパーティショニングに新たな選択肢をもたらすことは明らかです。慎重なパーティショニングは、いずれにしてもSoCのフロアプランニングやインタコネクトプランニングにとって得策ですが、性能面だけでなく、コスト面や消費電力面でも将来に対応したデザインを実現する上で欠かせないステップとなりつつあります。
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