「国内診断装置市場の競争は絶滅戦争に近い」、シーメンスはサービスに重点:医療機器ニュース(2/2 ページ)
シーメンスヘルスケアは、主力のCTやMRIといった診断装置事業について、単体製品の販売から、ソリューション提案やコンサルティングを含めたサービスに力点を移す方針。体外診断薬を用いた検査事業にも注力するという。
画像診断情報のクラウドサービス「teamplay」を展開
ただし日本法人のシーメンスヘルスケアでは、これらの5製品群以上に注力したいと考えているのがサービスだ。森氏は「単に装置メンテナンスを行うことがサービスではない。診断や治療のソリューションコンサルタント、病院経営のアドバイザー、そして信頼されるパートナーになるための、高品位な製品の付加価値になるのがサービスだ」と語る。
国内の医療関連市場を取り巻く環境は厳しい。急速に進む高齢化により医療費総額は高騰しているものの、病院数は減少傾向にある。そして、これまでシーメンスが主力としていた診断装置を活用する急性期病床は、政府の方針で大幅に削減されることが決まっている。森氏は「病院にとってもうかるということもあり、急性期病床は2014年時点で77万床まで増えた。しかし政府は、『早く治して早く家に帰す』ことで医療費を削減できるように、急性期病床を2025年までに53万床まで減らす方針。この環境下で、診断特化の事業展開は苦しい。政府の方針に合致する治療を促進する検査事業や、サービスによる診断装置事業の差異化が重要になる」(同氏)と分析する。
同氏が診断装置事業の差異化につながるサービスとして紹介したのが「teamplay(チームプレイ)」だ。
teamplayは、CTやMRIの検査から得られる画像診断情報を、世界中のユーザーから収集/フィードバックするクラウドサービスである。シーメンスの診断装置の設置台数は世界で10万台、ユーザーは10万人、検査数は1日当たり100万回にも上る。これらに加えてteamplayでは、DICOMに準拠していれば他社の診断装置も接続できる。
クラウドプラットフォームはマイクロソフトの「Azure」を用いている。日本での正式発表は「2016国際医用画像総合展(ITEM2016)」(2016年4月15〜17日、パシフィコ横浜)で行うことになる。医療データをクラウドで扱う場合には国内サーバが必要だが「マイクロソフトのAzureであればそれが可能」(森氏)ということで、サービス開始に向けた準備に問題はないようだ。
この他、国内での導入を検討しているサービスとして、診断装置のリースに近いビジネスモデルとなる「マネージドエクイプメントサービス」や、MRのリモート操作、放射線科そのものアウトソーシングなどを挙げた。
森氏は「国内の診断装置市場は絶滅戦争気味になってきている。サービスに注力して伸ばしていきたい」と述べている。
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