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走行距離たった50kmの小型電動バスを路線バスとして走らせる方法電気自動車(2/2 ページ)

早稲田大学は、磁界共鳴方式のワイヤレス給電に対応した小型電動バス「WEB-3 Advanced」を東芝らと開発し、羽田空港周辺や川崎市内で公道実証実験を開始したと発表した。ワイヤレス給電の普及を目指し、利便性を検証するのが目的だ。2017年3月ごろまで両地域で実証実験を継続する。

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8台目の電動バスのテーマ

 早稲田大学が手掛ける8台目の電動バス、WEB-3 Advancedの開発で課題となったのは、高コストで搭載性が低いワイヤレス給電装置の見直しだ。これまでのWEBシリーズでは電磁誘導方式を利用していた。電磁誘導方式の装置は受送電コイルの寸法に対して送電可能距離が短く、大型の受電コイルを車両に搭載する必要があった。また、この受電コイルはバスなど商用車にしか搭載できないサイズだったため、乗用車の部品としての量産展開によるコストダウンが見込みにくかった。

 WEB-3 Advancedは、小型のコイルでより長距離の送電が可能な磁界共鳴方式のワイヤレス給電を採用した。送電コイルと受電コイル間の距離が10.5cmの時に、44kWの出力でワイヤレス給電が可能だ。この受電コイルを車両に2つ搭載することで出力を確保している。許容位置ズレ性能は±10cm以内としている。充電効率は現時点では非公開。給電装置は東芝が新規に開発したものだ。量産しやすいモジュール構造で設計し乗用車にも搭載可能なサイズとしたことで、量産効果による低コスト化の見通しも立ちつつある。

車体下部にワイヤレス給電の受電コイルを2つ搭載している
車体下部にワイヤレス給電の受電コイルを2つ搭載している (クリックして拡大) 出典:早稲田大学

2016年度末まで川崎市内と羽田空港で運行

 WEB-3 Advancedは、日野自動車の小型バス「ポンチョ ロング」をベースに、UQM製で最大出力が145kWの駆動用モーターを搭載している。バッテリーのリチウムイオン電池「SCiB」とワイヤレス給電装置は東芝が提供した。バッテリーの総容量は40kWhで走行距離は最大50kmとなるが、小まめな充電を前提としているので不足はない。車両製作には電気自動車や燃料電池車などの開発/生産を手掛けるフラットフィールドが協力している。車体重量はベース車両が5710kgなのに対し、WEB-3 Advancedは5990kgで重量増を280kgに抑えた。

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