特集
ISO26262のアセスメント担当者はスーパーマンでなければならない!?:ISO26262 アドヴィックス 事例(4/4 ページ)
アドヴィックス 機能安全監査室 室長の河野文昭氏が「第3回自動車機能安全カンファレンス」に登壇し、自動車向け機能安全規格であるISO 26262と向き合うための組織づくりについて講演。2009年からアドヴィックスで同氏が取り組んできた事例を基に、機能安全規格と向き合う組織戦略の立て方を紹介した。
効率よくメリハリのあるアセスメントのために見どころを絞る
河野氏は規格要件を基に、重点確認事項を洗い出すことを重要だと説明する。ただ、「重点確認事項しか見ないというわけではない。安全設計ができているかを追跡してチェックするための戦略だ」(同氏)と付け加える。その上で、重点確認事項を評価するための基本軸を設定する必要がある。
アドヴィックスでは、アーキテクチャ軸/要求軸/分析軸という3つの安全設計の基本軸に基づいて、FSC、TSC、HSCとSSCを順に確認する。これで、重要な部分の評価により多くの時間を割り当てることが可能になる。
こうした機能安全アセスメントに対応できるアセッサーを育てるには、資格だけでなく実務経験が必要だと河野氏は強調する。同社では、成果物の不整合の有無や双方向でのトレーサビリティーを検証するドキュメントレビューにアセッサー見習いを参加させる。ドキュメントレビューを基にプロジェクト関係者へのインタビューを繰り返し、規格要件への適合を確認する。この時、規格を念頭に各パートを連携させる質問力が求められる。
河野氏は、これらはあくまでアドヴィックスの事例で各企業に最適な戦略があるとし、「社外の知見や開発ツールベンダーのサポートを積極的に頼り、最も良いやり方を選んでほしい」と述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ISO26262の第2版の策定始まる、車載セキュリティが「ホット」な議題に
自動車向け機能安全規格であるISO 26262の第2版の策定が始まった。このISO 26262の国際標準化活動に10年近く携わってきたのが、日本自動車工業会で電子安全性分科会会長を務めるトヨタ自動車の川名茂之氏だ。川名氏に、初版の規格策定時の苦労や、国内自動車業界のISO 26262への対応状況、そして第2版の方向性などについて聞いた。 - 「機能安全」の導入で何が変わるのか?
自動車向けの機能安全規格ISO 26262の策定作業が最終段階に入った。この規格では、機能安全を実現し、それを証明するために必要となる開発プロセスが定められる。では、その新たな開発プロセスは、従来の開発プロセスとどのように異なり、それを適用する際にはどのようなことが課題になるのだろうか。本稿ではまずこの点を明らかにする。加えて、機能安全を実現する上でポイントとなるマイコンについて、各メーカーの取り組みの様子を紹介する。 - あらためて「ISO26262」の全体像を把握しておこう
自動車分野向けの機能安全規格「ISO26262」。本稿では、正式発行を控え、日本の自動車業界でも対応作業が本格化し始めているこのISO26262の概要・全体像についてあらためて説明する。 - ISO26262対応を始める前に理解しておくべきこと
国内の自動車メーカー各社や大手ティア1サプライヤは、自動車向け機能安全規格であるISO 26262への対応を加速させている。その一方で、中規模以下のサプライヤは、ISO 26262対応を進められていないのが現状だ。本連載では、中小サプライヤを対象に、ISO 26262に取り組む上での実践的な施策について紹介する。 - トヨタがグループ内の自動車部品事業を集約、ブレーキ/ディーゼル/MTで
トヨタ自動車は、同社グループの自動車部品事業を集約/統合し、競争力を強化する方針を打ち出した。「もっといいクルマづくり」を推進するための施策だとしている。