1万枚の画像検索を1秒で、FPGAでの高速化手法を富士通が開発
画像検索に必要な処理の一部をFPGAに実装し、1万枚以上の画像BDから一致する画像を1秒で検索する技術を富士通研究所が開発した。2016年度内の実用化を目指す。
富士通研究所は2016年2月2日、FPGAを利用して、大量の画像データから部分的にでも一致する画像を高速に検索する技術を開発したと発表した。1万枚以上の画像データベースから、検索画像の任意部分に一致する画像を1秒程度で検索できることを確認したという。2016年度内の実用化を目指す。
新開発した技術では、画像検索処理において従来はサーバのCPUで行っていた処理の内、特徴量抽出とマッチングの処理をFPGAに実装。また、FPGAに実装した処理の稼働率を上げるため、データの先読みを行いながらも状況に応じて処理順番の入れ替えを行う処理スケジューリングの最適化を同時に行った。
本技術を適用したサーバを試作し、1万枚以上の画像が格納されているデータベースを対象に試験を行ったところ、検索性能では既存サーバが秒間200枚の検索性能であったのに対して、新技術を適用したサーバでは秒間1万2000枚の検索が可能であることが確認できた。また、同等能力を既存サーバで実現することに比較すると、消費電力は30分の1、装置体積は50分の1にできるとしている。
同社では本技術を適用したサーバを2016年2月16日から米サンタクララで開催される「NATF 2016(Fujitsu North America Technology Forum)」にて展示し、詳細については同年3月7日から米レイクプラシッドで開催の国際会議「WACV(IEEE Winter Conference on Applications of Computer Vision 2016)」にて発表する。
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