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ルノーの新デザインコンセプト『サイクル・オブ・ライフ』はなぜ生まれたのかクルマから見るデザインの真価(8)(5/5 ページ)

フランスの自動車メーカーであるルノーは、新たなデザインコンセプト『サイクル・オブ・ライフ』のもとでクルマづくりを進めている。1990年代以降、変化してきたフランス車の『らしさ』や、日本市場でのルノー車の受け入れられ方とともに、ルノーが『サイクル・オブ・ライフ』でどのように変わろうとしているのかを読み解く。

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デザインはコミュニケーションツールである

 今回ルノー・ジャポンの佐藤氏から話を伺っていると、マツダの「魂動デザイン」の回で(関連記事:「魂動デザイン」は販売店にも価値を生み出しているのか)、販売店の店長に「売り場にとっての魂動デザイン」の話を聞きに行った時と同じような印象も受けた。

 マツダでは、メーカー側の魂動デザインについての社内外への粘り強い布教活動の結果、販売の現場でも魂動デザインについて一貫性のある話ができるようになった。そして、新世代技術「SKYACTIV」とともに営業ツールとなったことで、値引き額でなくクルマの話をきちんとして、そのユーザーの使い方に合ったクルマを提案し購入してもらう、という流れができ上がったという変化を聞いた。

 ルノーの『サイクル・オブ・ライフ』にも、そういった販売現場の雰囲気を変える力があるように感じる。なので、今後の日本市場でのルノーの動きもしばらく注目していきたいところである(ただ現状のラインアップでは、必ずしも全てのモデルを『サイクル・オブ・ライフ』で語れるわけではないということなどから、インポーターから販売店への展開は試行錯誤中とのことであった)。

 プロダクトデザインのアウトプットは、形や色、質感といったものになるが、「何を目的に、どのようにしてそのアウトプットが導き出されたのか」という背景には、必ず理屈もある。デザインが純粋アートと異なるのは、コミュニケーションツールでもあるということだ。

 コミュニケーションツールである以上、デザインはデザイナーだけのものではない。経営者だろうと、販売やアフターサービスの現場の人だろうと、そして大企業だろうと中小企業だろうと、モノやサービスを提供する側の人はコミュニケーションツールとしてのデザインを使いこなさないとモッタイナイと思うのである。

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Profile

林田浩一(はやしだ こういち)

デザインディレクター/プロダクトデザイナー。自動車メーカーでのデザイナー、コンサルティング会社でのマーケティングコンサルタントなどを経て、2005年よりデザイナーとしてのモノづくり、企業がデザインを使いこなす視点からの商品開発、事業戦略支援、新規事業開発支援などの領域で活動中。ときにはデザイナーだったり、ときはコンサルタントだったり……基本的に黒子。2010年には異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。最近は中小企業が受託開発から自社オリジナル商品を自主開発していく、新規事業立上げ支援の業務なども増えている。ウェブサイト/ブログなどでも情報を発信中。



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