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ミリ波レーダーで居間にいる家族全員の心電図が見られる、センサーは10cm角に医療機器ニュース(3/3 ページ)

パナソニックと京都大学が、両者が共同開発しているミリ波レーダーを用いた非接触の生体情報センシング技術について説明。心拍だけでなく心拍間隔も計測できる高い精度と、測定対象が1人だけでなく複数人数の同時計測が可能な点が特徴。将来的には、センサーモジュールを10cm角まで小型化することも視野に入れている。

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アンテナとセンサー信号処理回路を10cm角のモジュールに小型化

 会見では、試作したミリ波UWBレーダーの試作装置を用いた心拍間隔測定のデモも行った。試作装置は個別部品を使って送受信回路を構成しているため、かなり大きなサイズになっている。アンテナは送信4本、受信4本のMIMOである。

ミリ波UWBレーダーの試作装置を用いた心拍間隔測定のデモ
ミリ波UWBレーダーの試作装置を用いた心拍間隔測定のデモ。試作装置の奥にあるディスプレイに心拍間隔が表示されている(クリックで拡大)
パナソニックの酒井啓之氏
パナソニックの酒井啓之氏。左手に持っているのは将来的に実現可能とする10cm角のセンサーモジュールのモックアップだ(クリックで拡大)

 パナソニック 先端研究本部 デバイス研究室 基盤技術研究部 アナログプロセッシング研究科 主幹研究員の酒井啓之氏は「まずは、ミリ波UWBレーダーと佐藤先生の心拍推定技術を実証するため、個別部品で作れる60GHz帯の装置を試作した。原理実証ができたので、今後は79GHz帯でより広いGHzクラスの帯域幅に展開を移行したい。今回のように帯域幅が500MHzだと複数人数の計測には各人が60cm程度離れている必要があるが、帯域幅が1GHzになれば30cm間隔でも計測できるようになる」と説明する。

 一般的に、ミリ波レーダーは周波数が高いと指向性が強くなり、広い範囲を検知しにくくなる。今回のミリ波UWBレーダーは「約90度の範囲で計測できているので、住宅や介護施設などでの生体情報モニタリング用途には十分だろう」(佐藤氏)としている。

 実用化に際しては、試作装置で個別部品を使っていたICの集積も必要になる。「試作装置はかなり大きいが、ICの集積などによってアンテナとセンサー信号処理回路を10cm角のモジュールに小型化できると考えている」(酒井氏)という。

将来的に実現可能とする10cm角センサーモジュール(左)とミリ波UWBレーダーの試作装置(右)のサイズ比較
将来的に実現可能とする10cm角センサーモジュール(左)とミリ波UWBレーダーの試作装置(右)のサイズ比較(クリックで拡大)

 79GHz帯でのさらなる広帯域化と、センサーモジュールの小型化を実現できれば、居間にいる家族全員、介護施設の共有部にいる入居者の同時計測が可能になる。

 パナソニックは、会見の会場になったパナソニックセンター東京(東京都江東区)の「Wonder Life-BOX」で、「2020〜2030年のより良いくらし」の展示を行っている。その中には、このミリ波UWBレーダーを使った寝室での生体情報センシングの提案もあり、実用化を強く意識しているようだ。

「Wonder Life-BOX」の寝室の展示
「Wonder Life-BOX」の寝室の展示。赤色の丸印で示した箇所に、ミリ波レーダーが設置されている(クリックで拡大)

 なお、今回の両者の研究成果は、文部科学省と科学技術振興機構が進めるCOI(Center of Innovation)プログラムのうち、京都大学が中核となっている「活力のある生涯のためのLast 5X イノベーション拠点」によるものだ。

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