車載デバイスの進化は日進月歩:オートモーティブワールド2016 車載デバイスレポート(4/5 ページ)
自動車の次世代技術の専門展示会である「オートモーティブワールド2016」の半導体・電子部品メーカーを中心に、記者が気になった展示をレポートする。自動車の開発サイクルは3〜5年といわれるが、車載半導体や車載電子部品はそれよりも早いスピードで進化を続けている。
ECUの中はサウナ風呂状態
村田製作所は、撥水加工を施した積層セラミックコンデンサを展示した。自動車に搭載されるECU(電子制御ユニット)は、氷点下の極低温から100℃以上の高温まで広い温度範囲に対応しなければならない。自動車向けの積層セラミックコンデンサで課題となっていたのが、ECU内部で起こる結露への対応だ。結露によって電極やめっき層が浸されると、不具合発生につながる。積層セラミックコンデンサの表面に撥水加工を施すことで、結露を水滴状態するとともに、水滴への金属溶出も防げる。
同社は撥水加工積層セラミックコンデンサをこれまでも製品展開していたが、今回展示した製品は第2世代になり、従来はなかった1005サイズが加わった。
クアルコムと組めば最強? TDKの電気自動車向けワイヤレス給電システム
TDKは、開発中の電気自動車向けワイヤレス給電システムを展示した。同社は磁界共鳴方式を採用しており、充電出力は3.7kWもしくは7.7kWに対応し、給電効率は85〜90%になる。
同社のワイヤレス給電システムの特徴は、ハイブリッド車のDC-DCコンバータなどで採用実績のある電力変換回路の開発力を生かしたアンプユニットや受電ユニットになる。「受電コイルはもちろんだが、同じく車両に搭載して二次電池パックに最適な充電電力に変換する受電ユニットも小型化しなければならない。そこで当社の知見を生かせると考えている」(TDKの説明員)という。
折しも、オートモーティブワールド2016初日の2016年1月13日、TDKとQualcomm(クアルコム)が提携を発表している(関連記事:「半導体メーカーとの連携不可欠」――TDK)。
同展示会では、クアルコムも電気自動車向けワイヤレス給電システムを展示。クアルコムは「DD方式」と呼ぶコイル構造が特徴であり、TDKの電力変換回路の技術と融合すれば有力なシステムを提供できる可能性がある。
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