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高品質・高性能・短納期を実現し、価格勝負ではないプレミア感が今後生き残る1つの策
円高により各メーカーの海外生産へのシフト、および技術者の海外流出が進み、日本国内の空洞化といわれている今、特に厳しいのが金型業界。これまでの日本の金型メーカーの強みといえば、次のような他にはまねできない職人技・ノウハウでした。
高品質
- プレス金型ならば数ミクロンの微調整の仕上げ
- 射出成形における熱収縮を見越した設計
- メンテナンスを考慮した設計
高精度
- トライ後の型修正が少ないため開発工数の削減に貢献
柔軟な対応力
- 設計変更にも柔軟に対応
納期が早い
- 開発期間に影響がない
韓国・中国における金型設計
それに対し韓国・中国などの金型は、ひと昔前までは「安かろう・悪かろう」で、筆者も過去に製品設計をしていた時は、仕上がってきた部品を見て品質・精度の悪さにビックリした記憶があります。ここ最近では、品質・精度ともに格段によくなり、さらには人件費の安さなどを背景とした単価の安さにより、日本の金型業界の大きな脅威となっています。そんな厳しい状況で、日本の金型業界が生き残るために、今までのやり方を見直す岐路に立っており、実際にそのような動きも起きています(※)。
※ 日本の金型設計の3次元化への動きは、JEITA(電子情報技術産業協会)や日本金型工業会を中心に活動しており、2012年10月に「3D単独図 金型工程連携ガイドライン」がリリースされています。
キーワードは金型設計の3次元化
そこでキーワードとなるのが「金型設計の3次元化」です。製品設計段階で金型要件を設計データに盛り込むことで、製品設計に起因していた金型製作/成形時の問題を事前につぶしこむことができるようになります。
金型成立性の問題による設計手戻りの削減
- アンダー・カット、部品の干渉、スキの事前チェックによる設計のつぶし込みが可能
- 形状の可視化による構造理解がしやすく検討が容易
- 2D図面では確認できない部位での干渉などによる組み付け不具合防止
成形時の品質作り込みの短縮
- 解析で活用することでトライの削減、品質の事前確認が可能
- 解析結果から変形量(ソリなど)を見込んだ入れ子の作成
加工側とのスムーズなコミュニケーションによる誤作防止
- 2D図面での設計ではできないダイレクトなやりとり
- 加工データ作成時間の短縮・誤作による修正防止
金型設計の3次元化により、高品質・高性能・短納期を実現し、価格勝負ではないプレミア感が今後生き残る1つの策になります。これから、日本の金型業界にも3次元化の波が押し寄せようとしてます。とはいえ、2次元設計から3次元設計への移行というとハードルが高く非常に不安を感じるものです。
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