気圧センサーもクルマのセンシングの主役の1つに、村田製作所の3次元デッドレコニング:オートモーティブワールド2016
村田製作所は、「オートモーティブワールド2016」において、ジャイロコンボセンサーと気圧センサーを組み合わせた3次元デッドレコニング(自律航法)のデモンストレーションを行った。自動運転で重要な自車位置の測位精度の向上に、高さを測る気圧センサーで貢献する。
村田製作所は、「オートモーティブワールド2016」(2016年1月13〜15日、東京ビッグサイト)内の「第8回国際カーエレクトロニクス技術展」において、ジャイロコンボセンサーと気圧センサーを組み合わせた3次元デッドレコニング(自律航法)のデモンストレーションを行った。自動運転で重要な自車位置の測位精度の向上に対して、高さを測る気圧センサーで貢献する。
デッドレコニングは、ジャイロセンサーや加速度センサーなどによって走行した距離や経路を推定し、カーナビゲーションシステムがGPSの信号を受信しにくい場合でも現在地を測位する技術。自動運転ではカーナビゲーションシステムよりも高精度な測位が求められる。
村田製作所が提案する3次元デッドレコニングは、衛星の信号が受信しにくい都市部での測位に向けたものだ。気圧センサーで車両の現在地の高さを測り、立体的に交差する道路でも自車位置を割り出せるようにする。
3次元デッドレコニングに使用する気圧センサーはスマートフォンで採用実績があり、30cm以上の高さの変化であれば検出できる。一方で「短時間に急速に低気圧が発達した場合などに、センサーがその影響を受けて誤差が出てしまうという弱点もある」(村田製作所の説明員)という。この誤差は、携帯電話の基地局に設置された気圧センサーを基準に修正することが可能だ。
ジャイロコンボセンサーでも車両が走行した傾斜を基に高さを算出することは不可能ではない。気圧センサーを組み合わせるのは、どんなセンサーにも誤差があるからだ。
同社の説明員は「ジャイロコンボセンサーのちょっとした誤差が自車位置としては何mかの誤差になりかねないので、その精度では自動運転には対応できない。スポーツの試合に審判が何人もいて判断をすり合わせるように、クルマのセンシングも幾つかのセンサーがあって正確さが増す。気圧センサーをその“審判”の一員にしたい」と説明する。
今後は、気圧センサーを車載用として十分な耐熱性や信頼性を満たすよう改良を進める。また、タイヤの動きなど実際の車両の挙動も検討しながら3次元デッドレコニングの精度を向上していく。
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