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「つながる」と「デジタルの価値」、インダストリー4.0を体現するシーメンスSCF2015 特別企画ブースリポート(シーメンス)

ドイツが進めるモノづくり革新プロジェクト「インダストリー4.0」の中核を担うシーメンス。設計環境向けのソフトウェアから製造現場用機器までを全てをカバーする特徴を生かし、「システムコントロールフェア(SCF)2015」では次世代工場のコンセプト「TIAコンセプト」を訴求するとともに、安全統合PLCやプラントシミュレータなど、豊富な製品群の提案を行った。

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 シーメンスは、オートメーション技術の展示会「システムコントロールフェア(SCF)2015」(2015年12月2〜4日、東京ビッグサイト)において「On the way to Industrie 4.0」をテーマとし、インダストリー4.0実現に向けた課題の解決策となる同社のソリューションを紹介した。

 インダストリー4.0はドイツ連邦政府が主導するモノづくり革新プロジェクトだが、シーメンスはその中核企業の1つとして、さまざまな取り組みに関与している。インダストリー4.0が目指しているのは、マスカスタマイゼーションの実現だとされており、そのためにはさまざまなシステムや機器が連携した「つながる工場」の実現が重要になるといわれている。

 これらの「つながる工場」の実現に対し、シーメンスでは工場や製造現場内の制御機器などから設計環境のソフトウェアまでを総合的に自社グループ内に全て抱えていることが強みになっているという。生産オートメーションなどのリアルの領域と、設計環境およびシミュレーションなどのバーチャルの領域を密接に関連させることができるため、このバーチャルの領域における製造プロセスの確認や分析した結果を活用できる。シーメンスではこれを「デジタルエンタープライズ」とし、価値を訴求している。

 シーメンスが目指す「デジタルエンタープライズ」は、製品を完成させるまでの全ての過程をデジタル化し、さらに製造プロセスと制御システムが連携することで、“デジタル化”により得られる高精度な分析や解析結果をバーチャルの領域で反映し、リアルの生産性を抜本的に改善することを目指したものだ。この「デジタルエンタープライズ」の価値を実現するために、「つながる工場」実現のプラットフォームとなるのが「TIAコンセプト」である。

 SCF展では、このTIAコンセプトを基軸とし、「つながる工場」実現に向け、シーメンスがリアル領域、バーチャル領域それぞれで高い技術力を持つことをアピールした。

「つながり」で多くの価値を生み出すTIAコンセプト

 TIAとは、「Totally Integrated Automation」の略で、制御機器の効率的な相互運用性を実現するコンセプト。一貫性のあるデータ管理、グローバル標準、統一されたハードウェアおよびソフトウェアのインタフェースなどにより、生産コストの削減やリードタイムの短縮化、生産の柔軟性向上などを実現するというものだ。

 TIAコンセプトは「つながる工場」のプラットフォームとなるものだと紹介したが、具体的には、オートメーションに関する、産業データの管理や産業データ通信、制御セキュリティ、セーフティなどを統合して1つの制御システムとして機能する形にしたものだといえる。さらに上流の設計データを組み合わせることにより、PLM(Product Lifecycle Management)などの情報も含め全てをデジタルの世界でつなぎ合わせ、シミュレーションなどを行った上で、より効率的にリアルの世界に反映することが可能となる。

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TIAコンセプト 出典:シーメンス

 産業用オープンネットワークである「PROFINET」を通じて製造プロセスのさまざまなフィールドデバイスを組み合わせた1つのプラットフォームを構築することで、PROFINET経由で接続された機器の情報取得と制御が一元的に行えるようになる。これにより、制御ノウハウの部品化や設計ワークフローの標準化などが行える他、リモートメンテナンスなども簡単に実現可能となる。安全制御なども一般制御と組み合わせて実現しやすくなる他、制御セキュリティなども組み込みやすいという利点などを持つ。

 これらを管理するツールが「TIAポータル」だ。TIAポータルは、直感的なユーザーインタフェース、簡単操作、データの可視化などを実現するツールだ。誰でも簡単にそれぞれのデータや工場内の活動などを把握できるようになる他、簡単な操作に関しては熟練技術者でなくても行えるようになる利点がある。

 シーメンス プロダクトマネージメントグループ グループマネージャーの横谷浩行氏は「TIAコンセプトそのものは1995年から展開してきたが、TIAポータルやこれらに対応するPLCなどが出そろってきたのはここ最近のことだ。ようやく思い描いていた新しい生産の形が実現できるようになった」と、現在の技術進化の価値を訴える。

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シーメンス プロダクトマネージメントグループ グループマネージャーの横谷浩行氏

 既にTIAコンセプトは、ドイツでは新設される工場の新設ラインでは多くが採用されるようになってきている他、インダストリー4.0などを含むスマートファクトリー実現に向けたさまざまな活動の中でも「次世代工場」を実現した1つの仕組みとして認知が広がっているという。

 SCF会場では、TIAポータルからPLCやHMI、BoxPCなどと接続し、マスターPLCに接続されたPROFINET機器のIPアドレスの一括変更や、システム診断機能など、一元的に制御可能である点を示した。

 横谷氏は「デジタルエンタープライズの価値の中に、現実の世界と全く同じ情報を仮想世界で再現しシミュレーションなどを行う“デジタルツイン”という考え方があるが、これを実現するためには現実世界も1つのシステムとして統合が実現されていることが必要となる。マスカスタマイゼーションに向けた自律した工場を目指すインダストリー4.0実現には必要なプラットフォームである」と強調した。

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TIAポータルのネットワーク構成画面。制御機器を一元管理できる様子をデモした(クリックで拡大)

デジタルエンタープライズを体現するプラントシミュレーション

 デジタルエンタープライズの実現に向けて「つながる価値」をプラントで実現するのが、同社が展開するDCS(Distributed Control System)「PCS 7」である。「PCS 7」は安心・安全のための機能強化を行っていることが特徴で、エンジニアおよびオペレータを支援する機能として、警報メッセージの動的表示やメカニカルアセットのメンテナンス機構、セーフティ統合、高度制御、グラフィック表示の効率化、プラントシミュレータ(SIMIT)などの機能を搭載している。

 特に注目を集めたのがプラントシミュレータ「SIMIT」だ。「SIMIT」は、プラント制御システムであるDCSのプロジェクトをもとに、バーチャルプラントのシミュレーションモデルを自動生成し、バーチャルモデル上で、机上での試運転調整を事前に行える事や、さまざまなオペレーショントレーニングなどを行えることが特徴である。

 ユーザー独自のシミュレーションモデルをライブラリ化することが可能である他、業界別のシミュレーションモデルを収録したライブラリも用意しており、大規模プラントの制御システム構築の負担を大幅に削減することが可能だ。エンジニアリング作業時にバーチャルプラントを用い、事前に機能検証を行う事で、大幅に工期削減や品質向上を実現できる。

 SCF会場ではこの「PCS 7」と「SIMIT」の実演デモを行った他、このシミュレーション機能を強化し、同社グループの3DCAD設計ツールであるNXにそのままデータを取り込み、コントローラーの制御プログラムで3DCAD上の装置の動作をシミュレーションする様子を紹介した。

 シーメンス プロセス&ドライブ事業本部 プロセスオートメーション部 プロダクトマネージャーの金子誠氏は「バーチャル環境でシミュレーションできるという利点は非常に大きい。大幅な工期削減を実現できる他、品質向上にも貢献できる。また、高負荷な状況にあるプラントオペレータにプラントの危険な状況等を疑似体験させる事ができるため、オペレーションノウハウの習得を通じてプラントの安全操業にも寄与できる」と述べている。

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シーメンス プロセス&ドライブ事業本部 プロセスオートメーション部 プロダクトマネージャーの金子誠氏とPCS 7関連機器

1つのネットワークで一般制御と安全制御を実現

 工場内のフィジカルな領域で現実的な価値を訴求したのが「安全統合」のソリューションである。SCFでは、新たに発表した安全統合マイクロPLC「SIMATIC S7-1200F」シリーズを紹介した。

 同社のPLCは2年前に「SIMATIC S7-1500」ファミリーを発表し19年ぶりのラインアップ刷新を図ったばかりだ。同モデルではネットワーク対応とサイバーセキュリティの強化をポイントと挙げていたが、今回の「SIMATIC S7-1200F」でポイントとなったのが安全統合である。

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安全統合マイクロPLC「SIMATIC S7-1200F」シリーズ

 デジタルエンタープライズでは、1つの情報プラットフォームで「つながる」ということが重要だとされているが、セーフティについては、緊急停止などの措置が必要となるため一般制御と別で安全制御を構築するのが一般的となっている。しかし「SIMATIC 安全PLC」は、セーフティとしての要件は国際標準規格を適切に満たしつつ、一般制御と安全制御を統合することを可能としている。そのためハード構成やネットワークをよりシンプルにでき、拡張性や柔軟性向上、管理者などの省力化などを実現できる。

 シーメンス デジタルファクトリー事業本部ファクトリーオートメーション部 プロダクトマネージメントグループの雨宮祐介氏は「インダストリー4.0やデジタルエンタープライズの実現を進めていくためには、システムのシンプル化は必須であり、全ての工程で一般制御と安全制御で別のシステムを動かすのは、オートメーションをより複雑にしてしまう。日本市場ではまだまだ一般制御と安全制御を統合するような取り組みは少なく、今後普及が広がるものと見られている。“One コントローラ、One ネットワーク、One ドライブ、One エンジニアリング”の価値を訴求したい」と今後への期待について語る。

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シーメンス デジタルファクトリー事業本部ファクトリーオートメーション部 プロダクトマネージメントグループの雨宮祐介氏

インダストリー4.0の世界の実現に一歩一歩

 インダストリー4.0をはじめとする製造現場の革新に非常に高い関心が集まっているが、その中核企業であるシーメンスでは、この描くビジョンを実現するさまざまなコンセプトやソリューションを積み上げてきている。シーメンスが業界の中でも特殊なポジションを持つのは、製造業であり生産オートメーションの大手企業でありながら、CADやPLMソフトなど設計環境のICTも抱えており、製品を基軸とした全てのサイクルを自社グループ内で構築できることである。

 未来のモノづくり像を明確に描ける状態で提案を進めるTIAコンセプトや安全統合、プラントシミュレーションなどのソリューションは今まさに製造現場に多くのメリットをもたらすだけでなく、将来のビジョン実現のための一歩ともなり得る。今得られる利点を確保しつつ、将来の製造業革新に踏み出すことを考えているのであれば、シーメンスのさまざまな提案は1つの助けとなることだろう。

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提供:シーメンス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2016年2月7日

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