IoTで生産革新、成功の鍵はマスター管理の精度にあり:もうけを生む製造業IoTの活用手順(3)(2/3 ページ)
製造業で活用への注目が集まるIoT。しかし具体的な成果を生み出すために、どういった取り組みを計画すべきなのか戸惑う企業が多いはずだ。こうした製造業のIoT活用のポイントを解説していく本連載の第3回では、生産革新領域へのIoT活用のポイントについて解説する。
日本製造業のIoT活用に向けた課題とは
ここまで生産革新領域において、IoTの活用ステージを上げていくことが求められている点を説明した。しかし、このステージを上げる際に、センサーなどにより機械・設備から得られた情報に対して、“それがどういった情報なのか”を意味づけるためのマスター化が不十分なことが、日本の製造業のより高度なIoT活用に向けた課題であるといえるだろう。
この領域でのキーとなるマスター情報は「材料:Material」「方法:Method」「装置:Machine」「人:Man」の4つであると考える。
この4つの“M”である4M管理マスターは、それぞれの関連づけによって、BOM(部品表:Bill of Materials)情報およびBOP(工程表:Bill of Process)情報として認識されるものだ。しかしこの情報がしっかりとマスター化され、共有可能な状態で管理されているという工場は、意外と少ないのではないだろうか。
4M管理マスターの現状を示すと図2のようになる。従来日本の製造業では機械・設備レベルでの精緻なBOP情報は現場を主体としたExcelなどのマニュアル管理が主流となっており、標準化・IT化が進んでいない領域のため、共有化が困難であることが多い。
「そんなことは無い、わが社では、ERP(基幹システム)やMES(製造実行システム)にBOP情報を登録して共有している」と考えるかもしれない。しかしこの場合、原価管理目的や進捗管理目的での運用となっており、管理粒度が機械・設備レベルからみると粗いケースがほとんどだ。この状態だと、IoT活用の観点からはマスター化が不十分だと言わざるを得なくなってしまう。
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