もずく養殖にWi-SUN活用
もずく養殖の海上ブイにWi-SUNを搭載、陸地から海上の水温と塩分をチェック。そんな実証実験をNICTが行った。Wi-SUNの漁業分野への適用実証は世界初だという。
情報通信研究機構(NICT)は2015年12月17日、世界で初めて(同機構)Wi-SUNの漁業分野への適用実証に成功したと発表した。Wi-SUNによる省電力マルチホップ通信をもずく養殖に利用し、海上ブイからのデータを陸地の基地局に伝送、漁業分野への実証例とした。
実験では沖縄県南城市のもずく養殖所に、電池駆動の省電力Wi-SUN無線機を搭載した海上ブイ(水温と塩分センサーを内蔵)を3基設置し、陸地に設置した2基の通信機と通信を行った。海上ブイは陸地から1〜2キロ離れた位置にあり、海上ブイから陸地の通信機の間では、4段のマルチホップ通信が行われた。
各無線機にはIEEE 802.15.4eに採録された「省電力スーパフレーム」と呼ばれる間欠通信の仕組みを利用しており、大半の時間をスリープ状態とすることで電力消費を大幅に抑えている。
Wi-SUNは省電力性やマルチホップ通信対応といった特長を持ち、農水産業でのセンサー/ゲートウェイ間通信に有望視されており、ビニールハウス内の温度監視などに利用例がある。しかし、漁業利用においては海上伝波を始めとした通信環境や広くなる対象エリア、電池交換コストなど、農業利用に比べて条件が異なるため、「実証例がなかった」(NICT)状態だった。
今回の実証実験にて、海上ブイから水温と塩分濃度のデータを収集し、そのデータをクラウドにて利用することまでを確認できたことから、NICTでは通信機の通信頻度や省電力性能などについて、連携する知念漁業協同組合(沖縄県南城市)の要望に応じ柔軟に対応してゆき、Wi-SUNの社会展開を推進するとしている。
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