ヤマハ発動機の独自開発四輪車は2019年以降に発売、中期経営計画で言明:車両デザイン(2/2 ページ)
ヤマハ発動機が2016〜2018年度の中期経営計画を発表した。2018年度に売上高で2015年度比3500億円増の2兆円、営業利益は同550億円増の1800億円を目指す。開発中の四輪車の発売時期は「今回の中期経営計画の後、2019〜2020年ごろになる」(同社社長の柳弘之氏)という。
二輪車は少ない投資でラインアップ増
二輪車事業は「(新興国の一部を除いて)台数を追わず、高効率な事業経営に取り組む」(同社MC事業本部長の渡部克明氏)。2018年度の業績目標は、2015年度の業績見込みに対し、売上高で2500億円増の1兆3000億円、営業利益で370億円増の740億円を目指す。具体的には、プラットフォーム化による効率化と調達費用や設備投資の圧縮によって、2018年度までに600億円のコスト削減を目指す。
販売面では、先進国市場はブランド力を生かして安定した収益を確保する。事業規模が最も大きいアセアン地域ではシェアの回復と高い収益の確保のため、プラットフォーム化を推進。中国やブラジルは成熟市場だが不確定要素が多いため、損益分岐点を下げる取り組みに注力する。
成長市場とするインドとインドネシアでは販売台数を2018年度までに2015年度比でそれぞれ60万台ずつ増やす。インドでは市場が堅調に拡大することに対応し、地方部を対象とした商品ラインアップを拡充してシェアを伸ばす。インドネシア市場は2015年に落ち込んだものの中期的には回復する見通し。販売台数は前中計がスタートした2013年度並みを取り戻す。
先述したプラットフォーム化はエンジンや車体を対象にアセアン地域で展開してきたものだ。エンジンや車体のプラットフォーム化は、2015年度で第1世代の開発が終了しており、2018年度までは「第1世代を最大限活用して実をとる時期」(渡部氏)とする。現状では「市場投入した40%がプラットフォーム化対応モデルだ。これを60%まで増やしていく」(同氏)。そしてプラットフォーム化による競争力を高め、30%のコストダウンを継続する。
プラットフォーム化の推進によって、2018年にエンジンは2012年度比で50%減、車体は同40%減を目指して開発を集約する。開発コストを抑えながら、販売モデル数は2012年度比で60%増やす。2020年には第2世代のプラットフォーム化に向けた仕込みを始める。
調達先の集約も進める。現中計までに65%の部品をカバーする400社を200社に集約した。今後は、80%の部品を対象に650社から350社に減らす。また、作業ロスを削減する「理論値生産」や「理論値物流」を取引先にも展開する。
マリン、特機、IMは個性的なビジネスモデルを構築
マリン事業は、売上高3000億円、営業利益率20%の現状からさらなる成長を目指す。エンジンサプライヤからシステムサプライヤに転換し、エンジンに加えて周辺機器の供給やボートビルダーと連携した艇体戦略を推し進める。
特機、IMは個性的なビジネスモデルの創出に力を入れる。RVは二輪車、マリンに次ぐ第3の基幹事業に育てる。北米など拡大が続く市場向けに、差別化と高付加価値化を追求した商品を投入していく。
IMは営業利益率20%を目指す。開発/生産/販売が一体となったスピード経営で、自動車、家電/LED、モバイル/EMSの各領域で表面実装機のシェアを伸ばしていく。モバイル/EMS向けでは、日立ハイテクノロジーズから譲り受けた表面実装機事業とのシナジー効果を活用。2018年度には、日立ハイテクとの統合モデルを開発する。
UMS(産業用無人ヘリコプター)は製品販売からソリューションビジネスに移行し、売上高100億円のビジネスモデルを構築する。農薬散布など農業分野を拡大するとともに、監視やインフラ向けに展開する。
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