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大手との協業、NDAを結ぶ前に「目的の明確化」が必要な理由いまさら聞けないNDAの結び方(4)(4/5 ページ)

オープンイノベーションやコラボレーションなどが広がる中、中小製造業でも必要になる機会が多いNDAについて解説する本連載。今回からNDAを結ぶに当たり注意すべき点を説明します。

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2つ目の理由:「協業が実現するかが不透明な状況での不必要な情報開示・開発行為の抑制」

 2つ目の理由は、契約上の理由というよりも、NDAを結んだ後の江戸氏の交渉に臨む姿勢を明確にするという点にあります。

 大江戸モーターは小型モーターの開発に社運をかけています(江戸氏や大江戸モーターの技術スタッフは全身全霊をかけて真剣に開発に注力しているはずです)。このため、江戸氏は、矢面氏との技術ディスカッションにおいて、改良点や新たな知見を思い付くことになるでしょう。そして、こうした改良点や新たな知見を矢面氏に提案し、さらなる技術ディスカッションが行われることになるでしょう。

 こうしたディスカッションは、大江戸モーターとCFGモーターズとの協業の可能性を探る場合においては有益ですが、行き過ぎると、共同開発の領域に入り込むことになります。仮に、協業の実現に向けた交渉の結果、CFGモーターズが大江戸モーターとの協業を拒否した場合でも、技術ディスカッションで得られた情報は矢面氏の記憶に残ることになります。そうなると、江戸氏が矢面氏に開示した改良点や新たな知見が、場合によってはCFGモーターズの小型モーターの独自開発に利用されることになるかもしれません。

矢面

この考え方を使えば、大江戸モーターと提携しなくてもCFGモーターズだけで小型モーターが開発できるかもしれない!


 このため、江戸氏は、矢面氏と協業ができるかを検討する交渉に臨むにあたり、NDAを結ぶ目的(CFGモーターズに自社の技術を開示し、必要に応じてCFGモーターズからも同社の技術を開示してもらって、協業できるか否かを決定するとの目的)を明確に認識する必要があるわけです。明確に認識していれば、江戸氏は、交渉の場でも常に冷静に対応することが可能となり、協業が実現するかが不透明な状況での不必要な情報の開示や、不必要な開発行為を防ぎやすくなります。

 これは第2回の「NDAを結ぶ前に『特許出願』を行うべき3つの理由」の情報のコンタミネーションの話ともよく似ていますが、まずは目的を明確に認識することで過ちを犯しにくくなるといえるでしょう。

 これが2つ目の理由です。また、これらの2つの理由以外にも考えなければならない点があります。それは「情報を開示するのはどちらか」という点です。

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