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第4次産業革命で必須となる“手足の頭脳”、ルネサスが人工知能付きデバイスを披露SCF2015(2/2 ページ)

ルネサス エレクトロニクスは、オートメーション技術の展示会「システムコントロールフェア(SCF)2015」(2015年12月2〜4日、東京ビッグサイト)において、製造現場におけるエッジコンピューティング実現に向け、人工知能(機械学習)を組み合わせた産業向けエッジデバイスソリューションを披露した。

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「R-INエンジン」に人工知能(機械学習)機能をプラス

 今回、ルネサスがSCFで披露したのは、「R-IN」と人工知能機能を組み合わせたエッジデバイスソリューションである。人工知能技術については2011年設立のベンチャー企業クロスコンパスの人工知能関連子会社であるクロスコンパス・インテリジェンスと協業し、開発を行ったという。

 「R-IN」はもともとCPUの他、リアルタイムOSをハードウェアとして搭載。これにより「通常の5〜10倍の処理速度」(ルネサス)を実現し、製造装置の制御など高速なリアルタイム処理を実現していることが特徴だ。これに人工知能(機械学習)機能を組み込むことで、高速に稼働する製造装置などの情報をリアルタイムに処理し、最適なフィードバックを現場だけで行えるようになる。

 SCFのデモルームでは、機械学習による製造物の異常検知のデモを披露した。デモでは小型のベルトコンベアー上を流れる自動車型の模型の異常を機械学習により検知するというもの。システムそのものは非常にシンプルで、ベルトコンベアーの上方に設置したレーザー距離計により、模型の高さを計測しそれをつなぎ合わせることで形状の異常を測定するというものだ。

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「R-IN」と人工知能機能を組み合わせたエッジデバイスソリューションのデモ。赤丸部分が「R-IN」と人工知能を組み合わせたエッジデバイスのプロトタイプ。黄丸部分がレーザー距離計でここからベルトコンベアに流れる模型との距離を計測し異常を検知する

閾値を設定するロスを削減

 同デモではまず、良品だけをベルトコンベアーに流して良品のパターンを認識させる。ポイントは「どのような特徴をパターンとして把握するのか」という点を人が設定などで指定するのではなく、人工知能が自動で把握するという点である。「どういう点を見ているのかというのは、われわれが感知しているわけではない。良品を見ることでこういうところに特徴があるというのを機械が自動的に把握する。この設定や管理などが必要ないという点が大きな点だ」とルネサス エレクトロニクス第二ソリューション事業本部 産業第一事業部 産業ネットワークソリューション部 エキスパートの高倉敏氏は述べる。

 その後、“実製品”を想定し瑕疵などもあるワークを流していくと、良品との特徴点における差異を自動でリアルタイムに認識しアラートを発生させる。例えば、傷口が細かいものなどではサンプリング周波数を高めなければ認識できないが、デモでは400μ秒のサンプリングレートでの計測を実現。細い傷でも問題なく異常を発見する高速処理性能を示していた。

photophoto 傷が入ったワークが流れてきた時(左)に、自動で良品との差異を見つけ「ERROR」表示を出す(右)(クリックで拡大)

初めて直接販売を展開

 ルネサスでは、同社那珂工場内で同エッジデバイスソリューションの実証実験を開始している。半導体製造工程におけるプラズマエッチング装置でプラズマ発光の状態をモニタリングし、異常を検知するというものだ。同社では「最終的な生産性向上などのまとまった数値はこれからだが、現場での検知能力は従来比で6倍程度になるなど、成果は見えつつある」(高倉氏)と述べている。

 今後は自社実践での実績を積み上げていくとともに、新たにユーザー企業や工場向けのシステムインテグレーターに向け直接販売に乗り出していくという。

 「ルネサスでは従来、半導体を活用する製造装置メーカーなどに納入するケースはあったが、ソリューションを直接ユーザーに提供するのは初めてのこととなる。新たな販路開拓なども進めつつ、ソリューション展開の強化を進めていく」と高倉氏は述べている。

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