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世界初の“凍る”鋳造技術を実用化! 業界常識を覆した町工場の“熱い”挑戦イノベーションで戦う中小製造業の舞台裏(4)(5/5 ページ)

自社のコア技術やアイデアを活用したイノベーションで、事業刷新や新商品開発などの新たな活路を切り開いた中小製造業を紹介する本連載。今回は、世界で初めて「凍結鋳造システム」の実用化に成功した株式会社 三共合金鋳造所の取り組みを取材した。

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次世代の鋳造システムに向けて、若手職人を育成

 鋳造は、紀元前4000年ごろにメソポタミアで始まったといわれている。長い歴史の中で、鋳物はいつの時代も重要な役割を果たしてきた。その技術は、今日まで進化しながら受け継がれてきている。

 三共合金が実用化に成功した凍結鋳造は、今はまだ制約も多い。本格的に稼働し、普及していくのはこれからだ。それに関して松元さんは、「日々進化する技術が課題や制約を解決していくでしょう」という。

 そのためには若手技術者の育成が必須だ。職人の高齢化が進む業界の中で、同社は若手人材の育成にも積極的に取り組んでいる。

 地元高校生を対象とした「ものづくり分野の人材育成・確保事業」にも協力し、熟練技能者の技術を間近に見せて体験する機会を設けている。また、卒論のテーマに凍結鋳造を扱う大学生が、同社のプラントを使用しにくることもある。


溶けた金属の中に別の材質を埋め込む“鋳ぐるみ製品”を造型している様子。熟練工から若手技術者に技術を伝承していく(写真提供:三共合金)

 こうした取り組みがあるため、凍結鋳造やKSハードに興味を持った新入社員が入社してくるのだ。

 「実務の点からいえば、50代の熟練工を雇う方が効率がいいでしょう。けれど、若手社員は会社に熱気を送り込んでくれます」と松元さんは、彼らの熱意に期待を寄せている。

筆者プロフィール

松永 弥生(まつなが やよい) ライター/電子書籍出版コンサルタント

雑誌の編集、印刷会社でDTP、プログラマーなどの職を経て、ライターに転身。三月兎のペンネームで、関西を中心にロボット関係の記事を執筆してきた。2013年より電子書籍出版に携わり、文章講座 を開催するなど活躍の場を広げている。運営サイト:マイメディア


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