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経営難から大逆転! 独自の精密加工で新分野を開拓した金型メーカーイノベーションで戦う中小製造業の舞台裏(3)(1/7 ページ)

自社のコア技術やアイデアを活用したイノベーションで、事業刷新や新商品開発などの新たな活路を切り開いた中小製造業を紹介する本連載。第3回となる今回は大阪市西淀川区で精密金型製作を専門とする三木製作所を紹介する。

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 自社のコア技術やアイデアを活用したイノベーションで、事業刷新や新商品開発などの新たな活路を切り開いた中小製造業を紹介する本連載。今回紹介する企業は、町工場が集積する大阪市西淀川区で精密金型を手掛ける三木製作所だ。

 三木製作所が得意とするのは、天然の木目や自然石などの模様を緻密に再現できる直彫りの精密金型製作だ。同社はかつて職人の技量で製作していた金型を、高精度に3次元計測し、デザインモデル作成の全自動化を可能にする技術を産官学連携で開発した。その結果、現在では一部上場企業の研究部門から問い合わせが来るようになったという。同社の取り組みを取材した。

バブル崩壊、阪神大震災――逆境を乗り越えて独自技術を開発

 三木製作所は、兵庫県明石市で木型職人の修行をした先代社長が、昭和30年に西淀川区で創業した。当時は高度成長期で、業績は右肩上がり。現在の三木繁親社長が子どもの頃は工場が3カ所にあり、住み込みの職人さんもいたそうだ。


三木製作所の社長を務める三木繁親氏

 三木社長が同社に入社した頃は、バブルのまっただ中でホンダ技術研究所から、新型車のインパネ部品用の試作用樹脂型を一手に引き受けていたという。そして売り上げの9割を自動車関係の案件が占めていた。

 しかしその後、バブルが崩壊した。「ちょうど、私が家業を継いだタイミングだったんです。もう、最悪(苦笑)。売り上げはピーク時の3割にまで落ち込みました」と三木社長は当時を振り返る。

 職人気質の先代社長はもちろん、三木社長にも営業経験が全くなかった。そしてバブル崩壊の影響で売り上げが落ち込み、どうしていいか分からないままもがく中、1995年に阪神淡路大震災が発生した。そしてこのことが金型を手掛ける三木製作所にとって転機となった。

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