ニュース
熟練技術者のスキルを8時間で獲得、ファナックが機械学習ロボットを披露:産業用ロボット(2/2 ページ)
ファナックは「2015 国際ロボット展」で、Preferred Networks(PFN)と提携して開発している産業用ロボットへの機械学習の適用事例を披露した。機械学習により熟練技術者が数日間かかるティーチングの精度を、8時間で実現したという。
8時間で熟練技術者が数日かかるティーチング精度を獲得
ロボットには一切ティーチングを施さず、機械学習を用いてワークの3次元画像とその中でどの部分のワークの吸着に成功/失敗したかというデータを使ってピッキング精度を向上させたという。ロボットが試行錯誤して学習するとともに、3次元画像から「円柱と円柱の間は取れない」「円柱の側面は取れる」と予測する精度が向上していく仕組みだ。
最終的にこのシステムを適用したロボットは8時間の学習で90%の取得率を達成。1000データ分を学習した場合の取得率は60%だが、5000データを学習すると90%まで向上した。ファナックによれば熟練技術者がこのレベルのティーチングを行うのには数日かかるとしている。また、こうした機械学習を複数台のロボットで同時に進めることで、さらなる学習時間の短縮も見込める。
異常検知にも活用
ファナックとPFNではこうした機械学習技術を、ロボットの異常検知などにも活用していく方針だという。ロボットの減速機から得た正常/異常時、それぞれのセンサーデータを機械学習で分析して異常判定モデルを生成。この異常判定モデルを用いてロボットの故障を事前に検知する。従来の手法では検出が遅かった異常を、事前に検出できるシステムを目指すという。
関連記事
- “自律する工作機械”実現へ、ファナックが機械学習ベンチャーと提携
ファナックは機械学習や深層学習などのベンチャー企業Preferred Networksと、工作機械や産業用ロボットのインテリジェント化に向けた技術開発で協業する。 - ファナックの“緑の安全ロボ”が小さくなった!
ファナックは「2015 国際ロボット展」で、人と協調作業が行える協調ロボットの新製品を展示した。可搬重量が4kg、7kgと小型なのが特徴だ。 - “生け花”を産業用ロボットと一緒にやってみた
KUKAロボティクスジャパンは、「2015 国際ロボット展」(2015年12月2〜5日、東京ビッグサイト)に出展し、人との協調作業が行えるロボット「LBR iiwa」をユニークなデモンストレーションでアピールした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.