見える、見えるぞ! 空気の流れが!――三機工業がキヤノンのMRを採用:製造IT導入事例(1/2 ページ)
空調など総合エンジニアリング企業である三機工業は、空調の気流や温度シミュレーションを3次元で体感できるように、キヤノンのMR(Mixed Reality)技術を採用したことを発表した。
三機工業は2015年11月18日、キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)、キヤノンITソリューションズ(以下、キヤノンITS)と共同で、3次元CG化した映像を実際の空間上に視覚化し、目の前に空調気流や温度分布が実在するかのように体感できるシステムを構築したことを発表した。
MRとは
MR(Mixed Reality)とは、バーチャルリアリティー(VR、仮想現実)技術の一種で、現実と仮想を違和感なくシームレスにリアルタイムで融合させる映像技術のことだ。例えば、今見えている視界に実際には存在しない自動車を映し出したり、部屋に仮想の家具を配置するようなことができる。
キヤノンではこのMR技術の研究開発を重ね、2012年7月に「MREAL」を製品化。そのシステムインテグレーションをキヤノンITSが担い、製造業などを中心に展開を進めてきている※)。独自の光学技術と高精度な位置合わせ技術を活用したヘッドマウントディスプレイ(HMD)と位置認識技術などを組み合わせ、移動などを自由に行いながら現実と仮想を組み合わせた世界を自由視点で見ることができることが特徴だ。
※)関連記事:キヤノンのMR技術が生み出すコミュニケーションの力とは?
今回MREALの採用を決めた三機工業はビルや病院、工場などの空調設備のエンジニアリングなどを請け負う、総合エンジニアリング企業だ。空調設備を施工前に数値によるシミュレーションによってその効果を検証する場合、従来は、3次元の結果をディスプレイ上などの2次元表示しかできなかったため、施工後に発注者のイメージと実感が食い違うことがあったという。また、条件設定を変えて比較検討するためには、CG制作作業などに多くの時間と労力を必要としていた。
そこで今回三機工業では、キヤノンのMREALを採用することで、空調におけるシミュレーションデータを3次元で直感的に表示することを目指した。三機工業のクリーンルーム建設などで培った高い数値シミュレーション技術に、キヤノンのMREALを組み合わせることで、空調気流や温度分布を3次元で体感できる。
三機工業 執行役員で技術研究所所長の福井博俊氏は「より直感的にシミューレーション結果を示せることで意思決定の迅速化などの効果が期待できる。エンジニアリング企業ではMRやVRを活用してシミューレーション結果を示すような取り組みはあまりなく、差異化につなげることが可能だ」と述べている。
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