出遅れた老舗「oneM2M」、Alljoyn連携で巻き返しなるか:IoT観測所(15)(3/3 ページ)
通信関係の標準化団体が組織した「oneM2M」は、M2Mプラットフォームの水平化を狙うが、IoTを取り巻くスピードは速く、実装までを考えると遅きに失する感が否めない。Alljoynとの連携での巻き返しを狙う。
進まない作業、Alljoyn連携で巻き返しを狙う
というわけでここまでは割と明るい話をしてきたのだが、実際には動きはかなりゆっくりだった。oneM2Mが結成されたのが2012年なのに、最初の仕様であるoneM2M Release 1が正式公開されたのは2015年1月のことである。組織策定から2年半後、というのはこの業界ではかなり遅い部類に入る。
ちなみにこのRelease 1のCandidate(リリース候補版)が公開されたのは2014年8月のことで、ここからでも半年近くかかっている(oneM2M's Candidate Specifications on M2M/IoT Communications Now Open for Comments)。
別に内部でゆっくり作業をしていた訳ではなく、2012年以降、内部ではかなり活発に活動が行われていた。にもかかわらず作業が遅れたのは、「船頭多くして船山に登る」的な状況にあったようだ。特に初期はoneM2Mの基本ポリシーをROA(Resource Oriented Architecture)にするかSOA(Service Oriented Architecture)にするかで、内部で結構もめたようだ。メンバー企業が230社もあれば、もめるのも無理ないところ。
この結果として、もっと早期に仕様策定が済んでいればoneM2Mを当初から仕様に盛り込んだ形の標準化が行われていたのに、これに準拠しない形で多くのIoT/M2Mの標準化が行われてしまったのはこれまで連載でご紹介した通り。ということは、多くのIoT/M2Mの標準規格に対して追加作業としてoneM2Mのマッピング作業を行わないと、oneM2Mの普及が進まないことになる。このマッピング作業のコストを誰がどう負担するのかというあたりはoneM2Mの発展のキーポイントになるだろう。
また相互接続性試験が後送りになっているのも痛い点だ。Photo01のTST、つまりTest Working Groupが結成されたのは2015年1月の事で、現時点ではまだ正式なTest Specificationは公開されていない。これを待っているといつまでたっても相互接続性試験ができないので、ETSIはoneM2MのTesting and Interoperabilityの作業を行っているし(oneM2M:ETSI)、2015年9月には初の相互接続性イベントが開催されているが(First oneM2M Interoperability event, 14-16 September 2015, in Sophia Antipolis, France)、全体的に出遅れている感は否めない。
またoneM2Mの仕様もまだやや抽象度が高いということもあり、もう少し踏み込んだ形でのRelease 2の仕様策定を2016年5月をめどに急いでいるが、果たしてこれで出遅れを挽回しきれるのかどうか、微妙な感じだ。明るいニュースもあり、Alljoyn AllianceはoneM2Mとの協業を発表しており、Release 2ではAllSeenとの相互接続性が実現できる可能性もある。これがうまくいくかどうか、が今後のoneM2Mの動向を握ることになりそうだ。
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