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MIPSのIoT“秘密組織”「prpl Foundation」IoT観測所(10)(1/3 ページ)

2014年5月に設立されたオープンソースベースのIoT団体「prpl Foundation」。Imagination Technologiesを中心とし、MIPSアーキテクチャをIoTへ導入しようと活動する団体だが、その内実はなかなか窺えない。

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 2014年5月22日、「prpl Foundation」(発音は“purple”と一緒らしい)と呼ばれる新しい非営利のオープンソースベースIoT団体が設立された。主導したのはImagination Technologiesで、これにBroadcom、Cavium、Ikanos、Ineda Systems、Ingenic Semiconductor、Lantiq、Nevales Networks、PMC、Qualcommといった企業が当初から名前を連ねている(現在はさらに増えて15社になっている)。

 この当初のメンバー企業リスト、分かる人には分かるのだが、要するにImaginationというかMIPSアーキテクチャに基づく製品をリリースしているメーカー群である。BroadcomやCavium、PMCといったメーカーはMIPS 64のアーキテクチャライセンスを取得して、自身でインプリメントしたMIPS 64ベースのネットワークプロセッサをリリースしているし、Ikanos、Ineda Systems、Ingenic Semiconductor、LantiqはいずれもMIPSのプロセッサライセンスを受けて、MIPSベースのSoCをリリースしているベンダーだ。

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「prpl Foundation」のWebサイト

 Nevales Networksはクラウドサービスを提供している会社だが、同社もIngenic SemiconductorのSoCを使って「Cloud Security Gateway」という製品を発表しているのでMIPSとは無縁ではない。

 そして最後のQualcomm。実は同社が買収したAtheros Communications(現社名はQualcomm Atheros)はMIPSベースのSoCを製造・販売しており、現在もQualcomm Athelosの製品としてWi-Fi向けのMIPSベースSoCの販売が継続している。

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prplの参加企業

prplの姿勢は明白

 prplの姿勢はFAQページの1問目、「What is prpl?」を見ると明白である。説明には“prpl is an open-source, community-driven, collaborative, non-profit foundation targeting and supporting the MIPS architecture”(prplはMIPSアーキテクチャをターゲットとし、これをサポートする、オープンソースベースでコミュニティー駆動の、協調した非営利団体である)とある。

 こうした姿勢はプロセッサベンダーとしてはごく当然の事であり、これが唯一のものでもない。良い例がARMの「mbed OS」であろう。mbed OS自身は、mbed Device Server経由でCloud Serviceまでの包括的なソリューションを提供しており、これに比べるとprplの提供する範囲はもう少し常識的というか、つつましやかである。

 prplのコアストラテジーとしては以下の3つが挙げられ、即した形での開発が進められている。

  • Portability

 複数のアーキテクチャ上での迅速な開発を行うための、ISA(命令セット)に依存しないソフトウェアの提供

  • Virutualization & Secutiry

 データセンター、ネットワーク&ストレージ、ホーム、モバイル、Embeddedまで広範にわたる用途に対応する、複数階層のセキュアなソフトウェア環境の構築

  • Heterogenous Computing

 次世代のビッグデータ分析やデータマイニングを可能にする計算リソースの提供

 具体的にはPEG(prpl Engineering Group)という組織をprpl内に設け、このPEGが個別の標準化作業あるいはソフトウェア開発に携わる。現在はPrplwrtとprpl QEMUと2つのPEGが活動しており、これに加えて2015年3月にSecurity PEGが設けられた。

 それぞれのPEGの活動内容を紹介する。

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MIPS | IoT | Imagination Technologies | mbed | Embedded


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