10年ぶりにインバータの新ラインアップ、制御性能を向上しIoTに対応:FAニュース(2/2 ページ)
安川電機は、10年ぶりの発売となるインバータの新ラインアップを発表した他、インバータ事業の戦略について説明した。
10年ぶりのインバータ新シリーズ
新シリーズとして投入する「ゼロシリーズ」は安川電機のとって10年ぶりのインバータ新シリーズとなる。ゼロシリーズの第1弾の投入製品は、産業用汎用インバータ「GA700」だ。200V 3相で、0.4/0.75〜90/110kW(キロワット)の製品を20機種、400V 3相で、0.4/0.75〜560/630kWの製品を28機種を2016年4月1日から投入する。
制御性能の改善とプラグインプレイ
ゼロシリーズの特徴は、高速・高精度・高応答性能を持つ他、省エネ新機能としてMTPA(Max Torque Per Ampere)を搭載。さらに設置面積も小さく、フィルタや制動ユニットなど周辺機器を内蔵する特徴を持つ。耐環境性能や安全規格対応なども進めており、グローバルですぐに活用可能だとしている。
同社インバータ事業部 事業推進部 部長の陣内信朗氏は「大きな特徴はモーターの制御を大幅に改善可能な制御性能の向上と、プラグインプレイでさまざまなモーターに接続するだけで簡単に使用可能である点だ。従来以上に幅広い業界や幅広い用途で使用できる」と特徴を述べる。
新製品「GA700」はまずは、プレスやクレーン、エレベーター、コンプレッサなど、高応答、高瞬時トルクなどが必要とされる領域に投入するが、徐々にラインアップを拡大し、全域をカバーしていく方針だ。
さまざまな使い方で機能性を改善
陣内氏は「例えばクレーンであれば、横走行時の揺れや軽負荷時の運転効率などで、操業効率が悪化するケースがあるが、ゼロシリーズを導入することで、これらを改善することが可能だ。またプレス機などでも、プレス時の過電圧を処理するために必要だった制動ユニットや制動抵抗器を不要とし、設置面積の縮小などが実現可能だ」と効果について語る。
また、Bluetooth内蔵キーパッド(オプション)なども用意し、IoT活用によるクラウドサービスなども提供していく方針を示す。
これらの取り組みにより「インバータは5年サイクルくらいとなっているが、ゼロシリーズの投入で現在14%程度のグローバルシェアを、5年後にはシェア17〜18%としたい。10年後にはシェア20%以上を達成する。市場規模は拡大し続けるため10年後には物量的には2倍弱の出荷量に拡大する」と善家氏は目標を述べている。
新製品のゼロシリーズの多彩な用途提案は、2015年12月2日〜4日に東京ビッグサイトで開催される「システムコントロールフェア2015」に出展予定だとしている。
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