フォルクスワーゲンの排ガス不正から始まる、自動車メーカーのEVサバイバル:和田憲一郎の電動化新時代!(17)(3/4 ページ)
排気ガス不正問題で窮地に追い込まれたフォルクスワーゲンが、突然、今後の環境対応車の軸足をディーゼルエンジン車から電気自動車に移すと公表した。それに呼応するかのように、トヨタ自動車、ボルボ、ホンダなども、次々と電気自動車やプラグインハイブリッド車に注力する方針を表明している。これらの動きにはどのような意味があるのだろうか。
「ティッピングポイント」を超えて加速
筆者はかねてより、2017〜2018年にかけて、電動車両第二の波がくるのではと予想していた。その背景として、電動車両の普及を促進させる複数の要素が、まるで偶然のように2017〜2018年に掛けて、同時並行的に起こるからである。
具体的要素として、電池の価格低下とエネルギー密度の向上、充電インフラの充実、日本における充電サービスの統一、V2H(Vehicle to Home)対応車の出現、ワイヤレス給電、自動運転車などである。これら複数の要素が同時期に起こることでトリガーとなり、“ティッピングポイント”と呼ばれる大転換点を迎えるものではないかと推測した。
なお、ティッピングポイントとは、コラムニストであるマルコム・グラッドウェル氏が提唱した概念で、ある閾(しきい)値を超えると一気に物事が広がる劇的な変換点を示す。
そして、2015年初にはしばらくFCVの話題が続くが、秋口からは流れが変わり、EV/PHEVに話題の中心が移るのではと予測した。2017年の東京モーターショーには、EVやPHEVの量産車が多数出てくることを考えると、コンセプトカーを出すのは今年(2015年)の東京モーターショーではないかと考えたからである。
ある意味予想通りとなっているが、今回のVWの動きはそれを決定づけさせるものとなった。今後、各社が一斉に動き出し、きたるべき第2世代(2017〜2018年)、さらにその6〜7年後となる第3世代(2023〜2025年)へと、急激にEV/PHEVが普及拡大していくものと想定される。
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