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フォルクスワーゲンの排ガス不正から始まる、自動車メーカーのEVサバイバル和田憲一郎の電動化新時代!(17)(2/4 ページ)

排気ガス不正問題で窮地に追い込まれたフォルクスワーゲンが、突然、今後の環境対応車の軸足をディーゼルエンジン車から電気自動車に移すと公表した。それに呼応するかのように、トヨタ自動車、ボルボ、ホンダなども、次々と電気自動車やプラグインハイブリッド車に注力する方針を表明している。これらの動きにはどのような意味があるのだろうか。

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トヨタ、ボルボ、ホンダなどの考え方

 これに対して、トヨタ自動車、ボルボ、ホンダは、以前から公表を計画していたのかもしれないが、結果的にVWに追随する形となった。では、なぜここに来て彼らも、急激にEV/PHEVに言及し始めたのであろうか。トヨタ自動車はハイブリッド車(以下、HEV)、燃料電池車(以下、FCV)も含んでいるが、今回はEV/PHEVに絞って考えてみたい。筆者の見立ては主に次の3つになる。

1)自動運転技術の導入が早まりそうなこと

 無人でもよい完全自動運転である自動運転のレベル4はまだまだ無理としても、半自動運転である自動運転のレベル2〜3を実現するための技術開発が進んでいる。このレベルでは、運転責任はあくまでドライバーにあるが、ある一定条件下(例えば、高速道路や駐車場の中など)であれば自動運転が可能なところまで、実証試験を始めとした取り組みが進んできた。そして、いよいよ法整備、保険など付帯条件の分野にまで検討が始まっている。

自動運転技術開発の例。(左)ボルボは2014年4月から、スウェーデン・ヨーテボリ市の公道で自動運転車の実証実験プロジェクト「Drive Me」を実施している。(右)トヨタ自動車の自動車専用道路向け自動運転実験車「Highway Teammate」(クリックで拡大) 出典:ボルボ、トヨタ自動車

 その時、EV/PHEVなどの電動車両がないと、せっかくの自動運転システムを開発しても搭載するクルマがないということになりかねない。ラインアップを充実させる必要が出てきたのであろう。

2)ガソリン車の収益に陰りが見えてきたこと

 円安で一服ついていた日系自動車メーカーも、来期(2016年度)は減益予想となるところが出てきている。また中国の減速で大きなダメージを負っているドイツ、米国、韓国の自動車メーカーも同様である。

 このような状況を打破し、他社との競争に打ち勝つために、いち早く次世代のパワートレインに切り替える必要性が出てきたとは考えられないだろうか。なお、HEVではもはや新鮮味もなく、その役目は難しい。

3)次世代電池へのめどが立ち始めたこと

 電池は、要素技術が生まれてから量産化できるまで10年かかると言われる製品だ。EV/PHEV用電池については、2009〜2010年の第1世代から既に5〜6年が経過した。2017〜2018年を想定すると、重量エネルギー密度は、これまでの約100Wh/kgから200〜250Wh/kgへと進化し、1回の充電で300km以上もの走行を可能とする次世代電池の登場も近づいている。

 また、2020年ごろには、リチウムイオン電池のブレイクスルーを妨げていた有機系電解液を、発煙/発火の恐れのない固体電解質に替えた全固体電池も登場するだろう。

Robert Boschが開発中の全固体電池
Robert Boschが開発中の全固体電池。2020年代に量産を始めるという(クリックで拡大) 出典:Robert Bosch

 これらのように、少なくとも3つの要素から「東京モーターショー2015」直前というタイミングを捉え、先進性を打ち出してきたと思われる。

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