商習慣の違いを乗り越え、サプライチェーンを最適化する“ものさし”:生産管理の世界共通言語「APICS」とは(2)(6/6 ページ)
グローバルサプライチェーンを運営していく上で“世界共通言語”とも見られている「APICS」を専門家が解説していく本連載。2回目はAPICSの「CSCP資格」について紹介する。
これからSCM全般の知識経験を取得しようとする人向けに
最後にこれからSCM全般の知識経験を取得しようとする人向けに資格取得の進め方として、以下の2つの方法を紹介する。
1つ目は、APICS教材を購入し資格取得する方法。少し高価ではあるが、OMBOKに構造化された知識体系習得の教科書として有効であり、また、資格取得後のビジネス展開時の参考書となるツールでもある。基本から勉強し資格取得したい人向けの資格取得方法として推奨する。
既に包括的にSCM経験をしている人向けに
2つ目は、既にサプライチェーン全般の知識と経験があることを前提とした準備方法である。問題集をベースに学習し、分からないものはネットや専門書などで調べて知識習得しながら、資格取得を目指す方法である。問題集は、安価で1100問の問題集が購入できる。全く同じ問題は出ないが、大筋の問題傾向は理解できる。
ここで記載したCSCP資格取得のためのアドバイスと具体的な紹介は、生産性本部が主催しているAPICS紹介セミナーで詳細説明しているので、興味のある方はぜひ参加していただければと思う。APICSをうまく活用し、共通のサプライチェーン言語とグローバル標準を理解した上で、国内サプライチェーンの改革に取り組むことで、より有効なサプライチェーン構築ができるのではないだろうか。
第3回:「「SCORモデル」を使ってサプライチェーンを考える」
筆者プロフィル
大塚宏征(おおつか・ひろゆき)
OOCLロジスティクス(ジャパン) SCM企画開発営業本部長、CSCP・APICS認定インストラクター、技術士(経営工学)。東工大大学院キャリアアップMOTストラテジックSCM講座修了、サプライチェーン戦略フォーラムCUMOT同窓会会長。
中央大学理工学部管理工学科卒業後、日系メーカー、SAP、キャプジェミニ・アーンスト・アンド・ヤングなどを経て、現職ではグローバルSCMソリューション営業に従事。
活動には「中国内陸地域におけるロジスティクスの現状と課題」(東工大大学院CUMOTストラテジックSCM特別講演2012年)、「APICS紹介セミナー」(生産性本部2014年〜)などがある。
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