音を奏でる車いすは健常者でも乗りたくなる、パフォーマンスで披露:東京パラリンピックの開会式で見られるか?(2/2 ページ)
NPO法人であるSLOW LABELによるイベント「SLOW MOVEMENT -The Eternal Symphony-」のパフォーマンスで、ヤマハとヤマハ発動機のデザインプロジェクト「&Y(アンディ)」の第1弾モデルとなる、音を奏でる電動アシスト車いす「&Y01」が登場した。
車いすのデザインコンセプト「02GEN」がきっかけに
&Y01は、ヤマハ発動機の電動アシスト車いす「JWスウィング」をベースになっているが、パフォーマンス専用の音を奏でる車いすという位置付けだ。ただし電動アシスト車いすの機能によって、障害のある人でも楽しめるようになっている。
「波間を思いのままに駆け抜ける白いヨット」というデザインイメージを基に、ボディカラーが白色のJWスウィングを用い、車輪部の側方に薄型パーカッションを設置した。車いすの後方にはヨットの帆のようにTLFスピーカーを立てている。
車輪には回転を読み取るセンサーが付いており、早く回せば高い音、遅く回せば低い音といったように、車いすの動きを音に変換する仕組みを備えているる。この仕組みについては、立命館大学 映像学部 准教授の望月茂徳氏が開発を担当した。ヨットの帆のようなTLFスピーカーから聞こえるのは、この音である。
また、TLFスピーカーは指向性が強く、帆の両面は見える側方では&Y01の音が聞こえるが、前側と後側からだと聞こえない。これを利用して、&Y01の動きを使って観客に聞かせる音にも変化を加えられる。
「車いすが表現の道具になれば不自由のあるなしは関係なくなる」
&Yは、ヤマハとヤマハ発動機のデザイン部門がアイテムを交換してデザインする「project AH A MAY(プロジェクト アーメイ)」に続くプロジェクトだ。その第1弾が&Y01になったのはなぜなのか。
ヤマハ発動機 執行役員 デザイン本部 本部長の長屋明浩氏によれば「最初のきっかけになったのは車いすのデザインコンセプト『02GEN』を披露したときだ。スローレーベル ディレクターの栗栖良依氏と話す機会があり、音楽を奏でる車いすを作ってほしいという要望をいただいた。02GENでは実現できなかったが、私自身もそういう構想を持っており、それが今回の&Y01につながった」という。
栗栖氏は「車いすが足が不自由な人のモノと思われている事実を変えて、かっこいいものにしたいと考えていた。もし、車いすが表現の道具になれば、不自由のあるなしは関係なくなる。そこで、日本を代表する企業であるヤマハとヤマハ発動機に、音楽を奏でる車いすの開発をお願いした」と説明する。
「SLOW MOVEMENT -The Eternal Symphony-」のパフォーマンスは、2015年10月25日に豊洲公園(東京都江東区)でも行われる予定。この他、同年11月に横浜など活動を拡大し、海外での講演も計画している。「可能であれば、2020年開催の東京パラリンピックの開会式で、この&Y01を使ったパフォーマンスを披露したい」(栗栖氏)という意気込みで活動を展開していく方針だ。
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