トヨタとデンソーが「MATLAB/Simulink」を最新バージョンの「R2015a」に移行:設計開発ツール
MathWorks Japanは、同社のモデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」のユーザーであるトヨタ自動車とデンソーが、量産開発に適用しているバージョンを「R2010b」から「R2015a」に移行すると発表した。
MathWorks Japanは2015年10月13日、同社のモデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」のユーザーであるトヨタ自動車とデンソーが、量産開発に適用しているバージョンを「R2010b」から「R2015a」に移行すると発表した。トヨタ自動車とデンソーが、MATLAB/Simulinkの量産開発適用バージョンを変更するのは、2011年6月に「R2006b」からR2010bに移行して以来で、約4年4カ月ぶりとなる。
トヨタ自動車とデンソーは、ECU(電子制御ユニット)のソフトウェア開発において、MATLAB/Simulinkを用いたモデリングシミュレーションや、制御モデルからのCコード自動生成に利用してきた。その中で、2010年後半にリリースされたバージョンであるR2010bでは、「生産性の向上」や「差分開発への対応」、「継続的な機能改善」などに関する課題が浮上していたという。
一方、MATLAB/Simulinkは、R2010bからR2015aまでの間に、車載ソフトウェア標準であるAUTOSARや、自動車向け機能安全規格のISO 26262などの対応を進めるなど、さまざまな機能向上を果たしてきた。R2015aは、エディタの刷新による使い勝手の大幅な向上、シミュレーション高速再開機能などによるパフォーマンス改善、「Simulink Test」や「Simulink Design Verifier」が提供するモデルスライサなどによるモデルベース差分開発対応機能の強化を図っている。
トヨタ自動車 制御システム基盤開発部 部長の畔柳滋氏は「2003年に始まったトヨタ、デンソー、MathWorksの協調開発活動により、自動車業界のニーズがツール開発に直結し、現場の声に即した機能向上が図られてきた。第3世代のR2010bでは、量産開発で自動コード生成可能なレベルに達し、さらに今回のR2015aでは、差分開発と設計検証のし易さが改善した。車両開発に対応した機能が織り込まれたことで、生産性の向上に大きな効果が出ることを期待している」とコメントしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- モデルベース開発を成功させるには相応の投資が必要です
モデルベース開発を行うにはさまざまなツールを購入する必要がある。事業担当者にとってツールの選定と予算確保は悩みの種。それは、主人公の京子の上司である山田課長にとっても例外ではなかった。 - トヨタとデンソー、量産開発に適用しているMATLABのバージョンを「R2010b」へ移行
MathWorksは、トヨタ自動車とデンソーが量産開発に適用しているMATLABのバージョンを「R2010b」へ移行することを発表した。 - MathWorksがAUTOSAR/ISO 26262対応を強化、「コード生成が中核に」
車載ソフトウェアの標準アーキテクチャであるAUTOSARや、自動車向け機能安全規格のISO 26262への対応では設計ツールが重要な役割を果たす。The MathWorksのモデルベース設計ツール「MATLAB/Simulink」におけるAUTOSARとISO 26262への対応は、コード生成に用いるオプション「Embedded Coder」が中核になっている。 - ミリ波レーダーの設計が容易に、「MATLAB/Simulink」の新バージョン「R2013a」
モデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」の最新バージョン「R2013a」は、車載ミリ波レーダーの設計を容易にする2つの機能が追加された。「Raspberry Pi」や「Kinect for Windows」など組み込み機器の開発で注目さている製品との連携も可能になっている。