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オムロンの“標高10mのIoT”は製造現場を明るく照らすか(後編)スマートファクトリー(5/5 ページ)

オムロンの製造現場でのIoTへの取り組みを紹介する本稿。前編ではオムロンが考えるIoT戦略について説明した。後編では、自社の製造現場におけるIoT活用の実践とその効果などを紹介する。

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製造現場とICTの溝をどう埋めるか

 さて、これらのさまざまなIoT活用への取り組みを進めているオムロンだが、自社実践において、最初からIoT活用で「目覚ましい成果が残せる」と確信を持って始めたわけではないという。

 「IoTの活用についてはきっかけとなったのは、汎用CPUを搭載しさまざまな拡張性を持つ『Sysmacマシンオートメーションコントローラー NJシリーズ』の登場だ。高機能であるSysmac NJシリーズのメリットを訴えかねている状況があった。一方で生産現場でも生産性改善の要求が続く中でさらなる改善策を模索する状況があった。それぞれ話す機会があり『それでは一緒に活用の形を模索しよう』ということで自社実践が始まった」と水野氏は述べている。つまり、最初は成果に対しては半信半疑だったといえる。

 製造業におけるIT活用を考えた場合、製造現場の人々にとってITの活用は縁遠いものだ。一方でITシステム部門にとっても製造現場の観点は理解できず、お互いのコミュニケーションには大きな溝が存在する。実際にオムロンでの実証実験でも成果が形になるまではたくさんの問題があったという。

 「例えば、ワークの通過データを取るといっても、それぞれの製造機器が同期できていなければ出てくる結果は意味のあるものにはならない。最初は『なぜこんな訳が分からないデータが出るのだ』と戸惑った」(水野氏)。

ポイントはスモールスタート

 これらの溝を乗り越え、製造業がIoT活用に踏み出すにはどういうことが求められるのだろうか。

 水野氏は「製造現場の立場でいえば、まずはスモールスタートで始めることだ。小さく成果が出そうなところを見定めて、簡単に始めてみる。それである程度、内容のあるデータが見えるようになれば、製造現場の人は改善のアイデアを勝手に思い付くようになる。『こういうことがやりたい』や『こういうデータを取りたい』など改善活動の武器にしようという動きに広がる。そのためにはまず小さな成果を見せられるようにすることが重要だ」と述べている。

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