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諦めるしかなかったあのアイデア、企業の枠を超えた「ヤミ研」で製品化CEATEC2015(2/2 ページ)

会社に秘密でこっそりと進める製品開発――俗に言う「ヤミ研」。このヤミ研を企業の枠を超えてオープンに展開し、お蔵入りとなってしまった製品のアイデアを実現させようとしているのがベンチャー企業のNovarsだ。同社は「CEATEC 2015」でこのヤミ研の初成果となるスマートガジェット「MaBeee」を展示。その取り組みを取材した。

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セイコーを飛び出しベンチャー設立! 企業の枠を超えた「ヤミ研」

 ノバルスは2015年4月に設立したばかりのベンチャー企業。MaBeeeが第1弾の開発製品となるが、同社は単に製品開発に取り組むのベンチャー企業ではない。目指しているのはさまざまな企業に所属するエンジニアが、企業の枠を超えてコラボレーションし、その技能やアイデアを最大限に発揮できるプラットフォームの構築だという。

 同社では新規性が高く、参考となる前例や成功例がないため市場規模が予測できない、自社の事業領域と異なるから実現は難しい――といったさまざまな理由で“エンジニア/企画者の引き出しの中に埋もれてしまった製品企画を黙々と検討する”オープンコミュニティ「ヤミ研」を運営している。

 さらにこの「ヤミ研」の活動として、企業に所属するエンジニアの眠った企画の試作、マーケティング、事業化検討までを100日間で終えるプログラム「100日ラボ」を主催している。MaBeeeはノバルスだけでなく、この100日ラボとしても最初の成果になる。

 こうした活動を展開するノバルスの代表取締役を務める岡部顕宏氏は、セイコーインスツルで、携帯電話と腕時計とのBluetooth接続規格「BT-Watch」の策定や店舗向ソリューションシステムなど、モノづくり分野における新規事業を推進してきたという経歴の持ち主。同社を退社後にノバルスを立ち上げだ。


「思い切って辞めてしまった」と語るノバルス 代表取締役の岡部顕宏氏

 多くの日本企業が新規事業や新製品の開発など、イノベーションの創出に苦しんでいると指摘されてきた。こうした状況の中、岡部氏がノバルスを設立した動機には「日本のベンチャーでも面白い製品が作れるということをアピールしたい」という思いがあったという。

 今回展示したMaBeeeの開発は、あるエンジニアの「子どもと遊ぶプラレールを簡単に制御できる製品を作りたい!」というアイデアから始まったという。その後複数のメンバーで詳細を固め、試作などには3Dプリンタを活用。岡部氏は「3Dプリンタの登場など、会社の外でもモノづくりができる環境が整ってきたことがノバルスの設立を後押しした」と語っている。

 ノバルスは経済産業省が新規事業の創出支援を目的に実施している「Jump Start NIPPON」の平成26年度支援企業に採択されている。岡田氏は「今後もノバルスというプラットフォームから面白い製品を生み出していきたい」と述べている。

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