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ボルボのクリーンディーゼルは大排気量NAガソリンエンジンくらい気持ちいい今井優杏のエコカー☆進化論(20)(2/3 ページ)

フォルクスワーゲンの排気ガス不正でディーゼルエンジンに対して厳しい目が注がれつつある。しかし、ディーゼルエンジンの中低速の大きなトルクや良好な燃費といった長所まで否定するのはいかがなものか。ボルボのディーゼルエンジン「D4」を搭載する車両は、その良さを実感させてくれる仕上がりになっている。

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ボルボのクリーンディーゼル「D4」はモジュール戦略の申し子

 不正は絶対に許せない。だけどこれによってディーゼルエンジン全部が悪者! みたいに風評被害を受けてしまうのが、自動車業界の末端にいるものとしてはとても悲しいことだから、あえていい感じのディーゼルエンジンをラインアップしたボルボについて、今回はお話させていただこうと思います。

 最近、モジュール化という言葉がにわかに市民権を得てきているのはモノづくり業界全体にいえることですが、クルマ業界も例外ではありません。

 特にボルボは、フォードと業務提携関係にあった時代からの影響で、ごく最近まで複雑なエンジンラインアップを持っていました。

 しかし、多くのエンジンを持つことは、会社にとってメリットがあることとは言い難いのです。幾つもの生産ラインを管理しなくてはならずいけないことは、クルマの生産コストの増加、工場ごとの生産ムラにもつながっていました。

 ボルボが2013年から打ち出したパワートレイン「ドライブe」は、まさにそのモジュール戦略です。ダウンサイジング化として、可能な限り気筒数を4本以下にするとのアジェンダを掲げて、古女房フォードとのダラダラ続いていた関係をきっぱり断捨離し、ワタシ、あなたから旅立ちます! と完全自社開発/自社生産でやっていくことを決めたのです(フォードのダウンサイジングエンジン系もメチャステキです、コレはまた今度!)。そこからの発展は目覚ましく、出るわ出るわのドライブe祭り状態。

 中でもボルボのディーゼルエンジンは、これまで難しいといわれていたガソリンエンジンとの部品の共通化や類似部品での構成を果たしており、コストの低減を図れるというのがウリです。

 その日本導入第1弾となったのがディーゼルエンジン「D4」。既出のドライブeの1つである「T5」ガソリンエンジン(排気量2.5lの直列5気筒ターボエンジン)との間でモジュール化を実現したもの。

「ドライブe」のディーゼルエンジン「D4」(左)と部品の共通化や類似部品での構成が行われているガソリンエンジン「T5」(右)(クリックで拡大) 出典:ボルボ

 しかも、主力モデルとなる5車種――「V40」「V40クロスカントリー」「S60」「V60」そしてSUVである「XC60」に搭載し、一気に市場に導入しました。

「D4」を搭載する「V40」(左)と「V60」(右)の外観(クリックで拡大) 出典:ボルボ

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