国家戦略特区で自動運転の実験、小泉進次郎氏「できるとこからガンガンやる」:自動運転技術(2/2 ページ)
ロボットタクシーの自動運転実験車を用いる「完全自動走行に向けた国家戦略特区プロジェクト」は、湘南エリアを皮切りに国内3カ所で2015年度内に実証実験を開始する。内閣府大臣政務官の小泉進次郎氏「できるとこからガンガンやっていく」と語っており、スピード感を重視したプロジェクトになっている。
野球場での自動運転を“むちゃぶり”提案してから1カ月で実現
小泉氏が会見で強調したのは今回のプロジェクトや、野球場での自動運転デモを実現できたスピード感だ。
「私は今、国家戦略特区の担当として、自動運転や人工知能、ドローンなどさまざまな先進技術を社会の中で実現していくための検討会を担当している。今回発表するプロジェクトは、検討会のヒアリング(2015年2月開催)に参加してくれた谷口さんの話がきっかけになった。そして、(Webメディアの)NewsPicksのパネルディスカッションで、中島さんに会って、自動運転をどうやった後押ししていけばいいかという話をした。しかし、国連のジュネーブ条約や、それに基づく道路交通法の関係で、日本をはじめ世界各地ではドライバーがいない自動運転はできない。しかし、横浜スタジアムの中であれば、道路交通法を気にする必要はない。そういったできるとこからガンガンやっていって、経験やデータをとっていけばいい。そこで、(横浜DeNAベイスターズのホームスタジアムである)横浜スタジアムでピッチャー交代のリリーフカーが自動運転で出てくる姿を実現してくださいとお願いしたのが約1カ月前。このむちゃぶりを受け止めてくれた中島さんが、このスピード感で実現してくれた」(小泉氏)。
さらに小泉氏は、「完全自動運転を日本が先駆けて実用化していくには、国連のジュネーブ条約改正にも積極的に参加する必要がある。そこで、議論の場である国連欧州経済委員会のWP(Working Party)1への正式参加を目指すことにしている。日本国内での実証実験の結果をジュネーブ条約改正に反映できるようになれば、完全自動運転の実用化で日本が優位を保てるだろう」と語る。
加えて、「今日出席している事業者だけに限らず、あらゆる国家戦略特区で自動運転のプロジェクトをやりたいところがあれば全力で後押しをしていきたい」とも述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 完全自動運転=レベル4は2030年以降に実用化、ネックは法整備
現在、自動運転技術の指標となっているのが、米国運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)が発表している自動運転システムの自動化レベル分類である。この分類で最高レベルとなるレベル4、乗員が行き先を決めるだけで運転操作を全く行う必要のない完全自動運転システムが実用化されるのは2030年以降になりそうだ。 - 日本で自動運転システムを実用化するために解決すべき5つの課題
自動運転システムの開発を目指す「SIP-adus」では、日本国内で自動運転車を実現する上で解決すべき5つの研究開発テーマを設けている。また、2020年に東京で、自動運転システムを利用した次世代公共交通の実現を目指すことも目標に掲げている。 - 自動運転はいつ実現? 日米欧が描くそれぞれのロードマップ
内閣府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」において、自動運転システムの開発に取り組むSIP-adusが、欧州や米国の自動運転技術の開発における動向や、今後の研究開発の方向性について説明した。 - ロボットタクシー設立の理由は「自動運転のレベル4で先駆けたい」
ソーシャルゲーム大手のディー・エヌ・エー(DeNA)と「ロボットタクシー株式会社」を設立するZMP。「人とくるまのテクノロジー展2015」のZMPブースで、同社社長の谷口恒氏に、ロボットタクシーに取り組む理由について聞いた。 - 自動運転車のソフトウェアをオープンソース化、「研究開発を2年は前倒せる」
ZMPは、名古屋大学が開発した自動運転システム用ソフトウェア「Autoware」を搭載した自動運転車の実験車両を販売する。Autowareは、Linuxなどと同様にオープンソースソフトウェアになっている。