インダストリー4.0に向け、データを統合管理する統合基幹業務システムを採用:製造IT導入事例
田淵電機は、インダストリー4.0に向けたシステム革新のため、新世代ERP(統合基幹業務システム)「SAP S/4HANA」を採用した。システム導入により、業務課題の解決に加え、基幹システム外の各種機器からのデータの統合管理も可能になる。
田淵電機は2015年9月7日、SAP ジャパンが提供する新世代ERP(統合基幹業務システム)「SAP S/4HANA」の採用を決定したと発表した。インダストリー4.0に向けたシステムの革新が狙いで、導入は三菱電機インフォメーションシステムズが担当する。
田淵電機は、1925年創業の電子機器用変成器・電源機器、各種電子機器・部品のメーカーだ。1995年には、太陽光発電用パワーコンディショナを中心としたインバーター事業に参入。これを契機に、OEM製品から一般汎用製品を中心とする事業に転換したが、急激な企業規模拡大によって基幹システムの刷新に迫られたという。そのため同社では、インダストリー4.0の理念を自社ビジネスに採用。AIを活用した製造自動化や生産・販売情報などのビッグデータ分析による新しいビジネスモデルの構築を検討してきた。
SAP S/4HANAは、システムのベースとなる高速データベースSAP HANA上で、リアルタイム分析ができる。そのため田淵電機では、インダストリー4.0の理念に近いソリューションであるとして、SAP S/4HANAの採用を決定した。同システムの導入により、業務課題の解決に加え、基幹システム外の各種機器からのデータの統合管理も可能になるという。
同社では今後、ビジネス環境・品質保証体制・企業活動の見える化の整備を進めるという。さらに、販売後の一般家庭向け蓄電池の利用状況を監視し、最適な保守サービスを提供する新ビジネスにも取り組む予定だ。
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