インテルが車載セキュリティに本腰、研究組織「ASRB」を立ち上げ:車載セキュリティ
Intel(インテル)は、通信接続が当たり前になりつつある自動車をサイバー攻撃から守るのに必要な車載セキュリティの研究組織「Automotive Security Review Board(ASRB)」を立ち上げた。2015年10月には第1回の会合を開く予定だ。
Intel(インテル)は2015年9月14日(米国時間)、自動車をサイバー攻撃から守る車載セキュリティの研究組織「Automotive Security Review Board(ASRB)」を立ち上げたと発表した。
ASRBは、人やモノとITをつなげる「サイバーフィジカルシステム」分野の専門家や、世界中のセキュリティのトップ人材を求めており、ASRBのWebサイトで、ASRBに参画する研究者を募っている。ASRBの研究者は、車載セキュリティ向けの製品やソリューションが、自動車業界やドライバーに役立つより良いものとなるよう試験や監査を行うことになる。
インテルはASRBに対して、車載セキュリティに関する研究を行う上で必要な開発プラットフォームを提供する。研究結果は規定のプロセスを経て公開される。また、インテルの車載プラットフォームに実装可能で、重要かつインパクトの大きい研究成果を出したASRBの研究者には、新型車を贈呈するなどの表彰を予定している。ここで言うインテルの車載プラットフォームや研究の重点分野などは、2015年10月に開催を予定しているASRBの会合で発表する予定である。
Intel Securityでシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるChirs Young(クリス・ヤング)氏は「当社は、ASRBの力を借りて、全ての通信接続するクルマに必要不可欠な車載セキュリティのベストプラクティスを確立したい」と述べている。
なお、ASRBを立ち上げたインテルも、同社の知見を反映した車載セキュリティのホワイトペーパーの第1版「Automotive Security Best Practices: Recommendations for Security and Privacy in the Era of the Next-Generation Car」を発表している。
調査会社のGartner(ガートナー)によれば、2020年までに通信接続する乗用車の台数は150万台に達し、それらの60〜75%がWebベースのデータを利用できるようになるという。PCやスマートフォンと同様に、これらの通信接続するクルマ=コネクテッドカーにもセキュリティが必要になる。
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