100以上の解析ソフトを利用できるHPCサービス提供へ:CAEニュース
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、HPC環境をクラウドで提供する米Rescaleと販売代理店契約を締結。HPC環境の設計から構築、運用サポートまでをトータルで提供するHPCサービスの提供を開始する。
伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)は2015年9月11日、高速な計算処理を実現するHPC(High Performance Computing)環境をクラウドで提供する米Rescaleと販売代理店契約を締結し、同日からHPC環境の設計から構築、運用サポートまでをトータルで提供するHPCサービスの提供を開始すると発表した。
同サービスは、大規模なコンピュータシミュレーションを活用する自動車、精密機械を中心とした製造業や建設業、製薬業などの企業に向けて展開。今後3年間で100社への提供を目指すという。
Rescaleは、最新のハードウェア技術を搭載した800万台以上のサーバからなるHPCクラウドを提供。全体で1400ペタFLOPS以上の計算能力があり、解析時間を短縮し、研究開発速度の向上を支援する。計算規模や時間に応じた従量課金制サービスとして展開し、サーバやストレージなどのITリソースに加え、構造解析、流体解析、量子化学計算といった100以上のシミュレーションソフトウェアをSaaS型のクラウドサービスとして提供する。世界30箇所以上の高セキュリティなデータセンターを使用しており、ユーザーの業務セキュリティレベルに応じ、拠点を限定したサービス利用も可能だという。
また、直感的な操作画面、既存システムとの連携を実現するAPI(Application Programming Interface)機能、シミュレーションに特化したワークフロー機能などを備える。これにより、ユーザーは解析時間に加え、HPC環境の調達や設定にかかる時間も短縮でき、本来の研究開発業務に集中することができる。
CTCは、長年培ってきた解析シミュレーション分野でのノウハウを活用し、Rescaleのクラウドサービスを中心とした総合的なHPCサービスを提供していくという。
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