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アンシス、HPCのアウトソーシングサービスに取り組む海外企業のHPC事例も紹介

アンシス・ジャパンはHPCの構築・運用をアウトソーシングするサービスを準備中だ。本社の米ANSYSでは先行して準備が進められている。

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 アンシス・ジャパンは2013年4月15日、HPC(High Performance Computing)の構築・運用をアウトソーシングするサービスへの取り組みについて発表した。

 このサービスでは、HPCによるプライベートクラウド環境または安全なホスティングを提供する。クラウドやHPCの構築や運用などをパートナー企業が請け負い、テストや販売、サポートはANSYSが行う。対象顧客は、事業規模によらない、大規模解析に携わるユーザーとしている。


サービスの概要

 本社の米ANSYSでは本サービス準備が先行しており、R Systems、Penguin Computingなどの企業から提供を予定しているという。解析・シミュレーションのHPCで実績のある企業を選んでいるようだ。日本については、これから関連企業を回ってヒアリングしながらパートナーを決定する。


米ANSYSのパートナーシップ&HPCストラテジーディレクター バーバラ・ハッチングス氏。日本の企業に、同社のHPCアウトソーシングサービスについて説明するために来日したとのこと。

海外のシミュレーション導入実績

 本発表会では、上記サービス提供の背景として、同社ユーザーのトレンドを下記5つに分類して説明した。同社製品で提供できる機能も示した。

  1. 高性能化した製品開発において、エレ/メカ/ソフト連携が求められている:マルチフィジックス解析。挙動モデルと3次元モデルの連成解析など
  2. 製品として成功しても、複雑に入り組んだ設計製造の条件が起因した不良が発生してしまう(ロバスト最適化設計の必要性):HPCによる並列計算の実行、パラメトリック解析、アルゴリズムの自動化、拡張性のあるライセンスなど
  3. 設計開発チームは限られた人員と時間で多くの成果を出さなければならない:カスタマイズや自動化。マルチフィジックス解析が可能なワークフロー、共同作業可能なプラットフォームなど
  4. 中央集中化させたHPC/クラウド環境へのリモートアクセス:HPC技術の先駆的利用と拡張。オープンかつマルチベンダーのIT製品サポート。インタラクティブなリモート表示。Webやモバイル機器への対応など。
  5. 研究開発のグローバル化、および社内のナレッジや知的財産の管理方法改善:CAEの資産管理方法、シミュレーションチームの統合など。

 併せて、同社の海外ユーザーのHPCを活用したシミュレーション導入実績もいくつか紹介した。

GM

 General Motors(GM)では、かつて電気自動車およびハイブリッド車に使う電動機(トラクションモータ)の開発において、試作前に設計変更を数千〜数十万回も繰り返しており、生産性が低下していた。そこで計算負荷を既存のハードウェアに分散させてパラメトリック解析を実行するようにした。電磁界シミュレーションの計算は従来比で約16倍速くなり、解析時間は5時間以上短縮できたという。結果、設計者の生産性を倍に高めることができたとのこと。

JVCケンウッド

 音響機器メーカーのJVCケンウッドは、顧客の求める「さまざまな環境での最高の音質を確実に提供できる自動車用スピーカシステム」の開発を目指した。しかし製品導入の速さと頻度が高まるとともに、品質と信頼性に課題が生じた。同社は製品開発チームは従来、試作品を10個程度製作していた。パラメトリック解析による性能評価を取り入れたことで、試作品製作を1、2個まで削減できたという。製品開発期間は約1カ月削減しながら、迅速で革新的な製品導入がかなったという。

Oticon

 補聴器メーカーのOticonは、技術者のリソースを設計プロセスの初期段階に集めて、最適化解析で設計空間を十分に探査する、また設計変更もその段階で済ますことで、後工程に掛かる負荷を減らすことを目指した。非解析専門家、すなわち設計者でも実行可能なワークフローを作成し、データベースには高度な音響解析技術と社内のベストプラクティスを集結させた。結果、解析結果の信頼性に妥協することなく、設計者にもシミュレーションを普及させることができたという。従来はシミュレーション業務全体の75%が解析専任者が実行してきたが、現在はそのほとんどが設計者が携わっているとのこと。

PETROBRAS

 石油会社のPETROBRASは、解析・シミュレーションを積極的に実施してきた結果、社内のデータが激増してしまった。せっかく蓄積したデジタルの資産を社内で効果的に再利用するための共有方法を求めていた。CAEツールのワークフロー機能や自動化機能を利用し、専門家のノウハウ享受や社内のベストプラクティス普及を目指した。知識データベースを公開したことで、精製所のエンジニアたちが自律的な作業が行えるようになったという。結果的に、技術者トレーニングやプロセス開発経費の削減につながったとのことだ。

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