「3Dプリンタは流行ではなく革命」――米教授が示す10の原則と3つの未来:『2040年の新世界』ホッド・リプソン氏来日(3/3 ページ)
ストラタシス・ジャパン主催の「未来型デジタルファクトリー DDMフォーラム 2015」の基調講演に3Dプリンタ研究の第一人者として知られる米コロンビア大学 機械工学教授 ホッド・リプソン氏が登壇。3Dプリンタのこれからについて説明した。
3Dプリンタはようやく次の段階へ
リプソン氏によると、3Dプリンタの発展はようやく第1段階を終え、第2段階に入ろうとしているという。同氏がいう第1段階とは「PCで再現できるものは、実際のモノとして創造できる」という状態のこと。今までは店で買うことしか許されなかった状況が、自分で作れるようになったことが1つの革命だったと解説した。
そして次に起こることは「3Dプリンタで“素材自体”を作る」という段階だという。「基礎素材を組み合わせて、新しい材料を3Dプリンタ自身が作るという段階が既に始まっている。PCで設計できるかではなく、生物学の分野と同じように素材構成を自由に組み替え、自然と同じものが作れるようになる」(同氏)。
さらに最後の段階には「動くモノや電気機器も全て3Dプリンタで作れるようになる」と説明したリプソン氏。同氏の研究室では、既に電気回路を含むスピーカーの出力に成功しているとし、「いつかスマートフォンも3Dプリンタで製造されるようになる」と未来を語った。また、Stratasysが推進している、最終製品を直接3Dプリンタで製造する「DDM(Direct Digital Manufacturing)」の広がりについても「3Dプリンタの革命が進んでいる証拠」と説明した。
「過去に産業革命が起きた理由は、電力コストが大幅に下がったことが原因だった。通信革命も同様、通信コストが下がった時に爆発的な革命が起きた。3Dプリンタは複雑なものを作るコストが劇的に下がる仕組みだ。これは必ず革命を起こす」とリプソン氏は講演を締めくくった。
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