なぜIoTなのか、トヨタ生産方式の課題から考える:トヨタ生産方式で考えるIoT活用(1)(3/5 ページ)
日本型モノづくりの象徴ともいうべき「トヨタ生産方式」。日本的な“人の力”に頼った手法に見られがちですが、実はトヨタ生産方式にもIoT(Internet of Things、モノのインターネット)は適用可能です。本連載では多くの製造業が取り入れるトヨタ生産方式の利点を生かしつつ、IoTを活用してモノづくりを強化するポイントについて解説します。
開発期間の短縮化
基本は試作・生産準備の段階で、目標の不良率やサイクルタイムによる生産の検証が完了した段階で、量産工程に引継ぎを行います。しかし近年は開発期間の短縮化により、十分な検証時間がとれないため、量産に入る段階で目標値を確保できず量産工程に入ってからも目標値の達成に向けて改善を続けなくてはならないケースが増えています。
保証期間の長期化と生産設備の老朽化
国内では部品の保証期間が長期化しており、打ち切りがないまま10年以上も生産の依頼が来ている部品もあります。そのため処分できないため管理する金型の点数が多くなり、さらに生産設備が老朽化も進んでいることから、設備や金型故障の発生頻度が増加しているという状況です。
高騰する人件費
海外では人件費の高騰と生産ラインの立ち上げ時期の短期化、加工技術の難易度の高まりにより、人海戦術での対応が成り立たなくなっています。海外では国内の設備を移設して現地作業者による加工を行うのが一般的ですが、これまでは国内よりも不良率が高く加工に時間がかかっても、数十倍にもなる人件費の差でそのロスをカバーしていました。
しかし現在は生産ラインの立ち上げ期間の短期化や工法の難易度が高くなっているため、品質の確保は難しい状況です。さらに一部の地域では人件費も高騰しているため、ある程度安定的な生産体制を日本で確保してから現地に移転する傾向にあります。
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