「H-IIAロケット29号機」公開(前編)――29号機で何が変わったのか:見せてもらおうか、「H-IIA改」の性能とやらを(2/4 ページ)
日本のロケット「H-IIA」が「高度化」と呼ぶ大型アップデートによって、「アリアン5」や「プロトン」など諸外国のロケットに戦いを挑む。アップデート初号機となる29号の機体公開から、国産ロケットの現状を読み解く。
初めての商業衛星打ち上げ
H-IIAロケットは全長53mの2段式ロケットである。固体ロケットブースタ(SRB-A)が2本搭載される「202型」と、4本の「204型」の2種類が用意されており、搭載する衛星の重量に応じて選択される。今回は衛星が重いため、打ち上げ能力が高い204型を使用。204型による打ち上げが実施されるのは、2006年12月の11号機以来、2回目だ。
このレアな204型であることが29号機の大きな特徴であるが、今回、三菱重工業の飛島工場で公開されたのは「コア機体」と呼ばれる第1段と第2段のみで、IHIエアロスペースで製造されるSRB-Aは既に種子島の射場へ搬入済みだ。204型らしい姿が見られるのは、射場でコア機体とSRB-Aが結合されてから、ということになる。
29号機に搭載されるのは、カナダTelesatの通信放送衛星「Telstar 12 VANTAGE」だ。現在、西経15°で運用している「Telstar 12」の後継機として打ち上げられる静止衛星で、H-IIAロケットにとっては、これが初めての商業衛星の打ち上げとなる。同時に、高度化の技術実証フライトでもあり、非常に重要なミッションといえる。
29号機のコア機体は2015年9月8日に工場を出荷、2日後の同10日に射場へ到着する予定。打ち上げ時期は現在調整中とのことで、具体的な打ち上げ日時はまだ公表されていないが、三菱重工業によれば2015年中に打ち上げられる計画だという。
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