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レスキューロボコン、優勝チームは競技の枠を超え「もし、現場だったら」を考えたinrevium杯 第15回レスキューロボットコンテスト(4/4 ページ)

レスキュー活動開始!指令を受けたロボットが路上のガレキを押しのけ、要救助者の下へと急行する――。今回で15回目を迎えた「レスキューロボットコンテスト」の様子を、過去15年を振り返りながらお届けする。

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 レスキュー活動においても、同時に競技を行うチーム同士が力を合わせてミッションを達成するという意識が高い。互いの情報を公開しあい、チーム間でも協力しあっている。

 フィールド上にいる3体目のダミヤンは、1体のダミヤンを搬送後に探索と救助活動を開始するルールだが。大工大エンジュニアは高台にいるはずの3体目を発見できていない状態で探索を始めようとしたところ、同時にレスキュー活動している「都工機械電気(大阪市立都島工業高校 機械電気科)」から、コントロール間通信でダミヤンの所在地を教えてもらったという。

 おかげで大工大エンジュニアは探索に時間を要することなく、3体目のダミヤンも速やかに救出できたそうだ。自チームのポイントを上げて勝つことを目指すコンテストだったらありえないだろう。レスコンには、毎回こうしたエピソードが生まれている。

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今大会から、作戦会議やミッション中のコントロールルームの様子が観客に伝えられるようになった

 筆者は、第7回大会からレスコンの取材をしてきた。取材のためにコントロールルームの様子も間近に見る機会があり、彼らの真剣で緊張感があふれる雰囲気は、フィールド上で活躍するロボットを見ているより引き込まれるものがあった。しかし、コントロールルームは観客席から遠く、メンバーは観客に背を向けてロボットを操縦しているため、観客には様子が伝わらずにいるのがもどかしかった。

 どのチームも、キャプテンの指示のもとで、オペレーターやサポータが声を掛け合いながら情報を交換し、レスキュー活動している。フィールド上でダミヤンを救助するのはロボットだが、そのシステムを運用しているのはレスキューに携わる人間だ。ロボットは道具にすぎず、必死の思いでレスキュー活動に取り組んでいる人たちがいる。それがコンテストでもっと伝わればいいのに……と思っていた。

 今大会では、作戦会議の様子やミッション中のコントロールルームの様子が実況中継される試みが初めて取り入れられた。コンテストを観戦している子どもたちにも、ロボットを作る人、ロボットを使って災害に立ち向かおうとしている人たちの存在が今まで以上に身近に感じられたのではないだろうか。

 次回のレスコンに向けて、2015年内にレスキューロボットシンポジウムが開催される。ここで、次回の大会概要が発表される。また、実際のレスキュー隊が使用している高度救助資機材を見たり、震災で救助活動にあたったときの経験からレスキューロボットに期待することなどを聞く貴重な機会だ。一般参加も可能なので、興味のある方は公式サイトをチェックしてほしい。

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レスキューシンポジウムでは、実際のレスキューに使われる高度救助資機材を見学できる
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レスキュー工学大賞を受賞した「大工大エンジュニア(大阪工業大学 モノラボロボットプロジェクト)」チーム
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