レスキューロボコン、優勝チームは競技の枠を超え「もし、現場だったら」を考えた:inrevium杯 第15回レスキューロボットコンテスト(3/4 ページ)
レスキュー活動開始!指令を受けたロボットが路上のガレキを押しのけ、要救助者の下へと急行する――。今回で15回目を迎えた「レスキューロボットコンテスト」の様子を、過去15年を振り返りながらお届けする。
競技の枠を超えて「もし、現場だったら」を考えた優勝チーム
本大会で一番名誉のある「レスキュー工学大賞(レスキューロボットコンテスト計測自動制御学会特別賞)」は、「大工大エンジュニア(大阪工業大学 モノラボロボットプロジェクト)」が受賞した。同チームは、「いつでも どこでも だれでも ベストパフォーマンス」をコンセプトにレスキュー活動を行った。
レスキューロボットがより多くの人命を救うために、今大会に向けて8体のロボットを制作。“いつでも迅速なレスキュー活動を行う"というだけあって、全機体がミッション開始とともにスムースに動きだし、協調して作業にあたっていた。
大工大エンジュニアは「ロボットによる自律搬送」をテーマにしており、継続して開発を行っている。2011年は、自律型ロボットはゴール直前まで親機に運ばれ、直線コースを真っすぐ自走してダミヤンを搬送していた。2014年はライントレースで、救助現場からの搬送に成功していた。
今大会ではライントレースを止め、フィールド内にロボットが設置したマーカーロボットが発する赤外線を検知してゴールまで自律移動した。「現実のレスキュー現場では路面が荒れたガレキが散乱し、ライントレースができないと予想されるために新たに取り入れた技術」だという。
マーカーロボットは搭載したディスプレイで、現在地や避難を促す画像を表示。自力で避難が可能な被災者を安全場所へ避難誘導する情報を発信する。
競技概要で説明したよう、自律型ロボットによるダミヤン搬送や実験フィールド上にいない被災者に向けた情報発信は、ミッションポイントには影響しない。それでも「これが、実際のレスキュー現場だったら」と考えたときに、必要なシステムだと大工大エンジュニアのメンバーは判断したのだ。こうしたレスキューに対する姿勢は、同チームだけのものではない。今大会では、同様に被災者に向けた情報発信に力を入れているチームが多かった。
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