レスキューロボコン、優勝チームは競技の枠を超え「もし、現場だったら」を考えた:inrevium杯 第15回レスキューロボットコンテスト(2/4 ページ)
レスキュー活動開始!指令を受けたロボットが路上のガレキを押しのけ、要救助者の下へと急行する――。今回で15回目を迎えた「レスキューロボットコンテスト」の様子を、過去15年を振り返りながらお届けする。
レスコン競技は、架空の研究所「国際レスキュー工学研究所」に設けられた実験フィールドで実施する。これは、大震災後の街並みを縮尺6分の1サイズにしたものだ。フィールドには、ガレキや崩れた家屋が散乱。現場は二次災害の恐れがあるため、人間が立ち入ることができない。そこに実験用レスキューダミーがロボットの救助を待っているという設定だ。従ってオペレーターは、遠隔操作するロボットで、ダミヤンを素早く発見し、優しく救助して安全な場所へ運ぶことがミッションとなる。
競技でのポイントは、ダミヤンの救出、搬送、ダミヤンの身長や体重、胸のマーカーなどを読み取る個体識別、救出に掛かった時間に対して与えられる。
要救助者役のダミヤン。サイズは大小あり、体重も違う。胸のマーカー、目の点滅パターン、音声周波数などで個体が識別される。速やかに治療を受けられるように、搬送完了前にコントロールルームにダミヤンの状況を伝えておく必要がある
本稿で初めてレスコンの競技風景を見る人は、もしかしたら「現実のレスキューでは、ありえない!」「こんなロボットでレスキュー活動ができるわけがない」と思うかもしれない。
実際の救助現場では、崩れかけた家の中から要救助者を助け出す場合、壊れかけた家のドアを開けたり、階段を上ったり、散乱する家財道具を除いたり……、考えられることは無数にある。
これは、レスコンで競っているのがロボットの性能だけではなく、チームのレスキューコンセプトやレスキューシステム実現に向かう姿勢だからだ。そのため審査は事前に提出されるレスキュー方針を記述した書類から始まり、競技前には各チームのレスキューコンセプトをプレゼンテーションし、競技終了後には観客に向けて活動報告も行っている。
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