オープンイノベーションとはいうけれど、大手と組んで秘密は守れる?:いまさら聞けないNDAの結び方(1)(2/3 ページ)
オープンイノベーションやコラボレーションなど、社外の力を活用したモノづくりが、かつてないほど広がりを見せています。中小製造業やモノづくりベンチャーでも「大手製造業と手を組む」ことは身近になってきました。でも、ちょっと待ってください。その取引は本当に安全ですか。本連載では「正しい秘密保持契約(NDA)の結び方」を解説していきます。
中小VS大手、協業交渉のはじまり
展示会から約1週間が経過したある日、展示会で名刺交換をした大手自動車メーカー「CFGモーターズ」の新規事業開発部門の矢面氏から連絡がありました。
展示会で貴社のモーター小型化技術を拝見しました。当社の次世代電気自動車用モーターで採用できないか検討したいと思っています。つきましては、お互いの技術紹介を兼ねて一度打ち合わせをさせて欲しいと考えています。ただ、打ち合わせを有意義なものとするために、最初の打ち合わせまでに「秘密保持契約」を締結したいと思っています。いかがでしょうか?
大江戸モーターにとっては、大きなビジネスチャンスです。江戸氏はすぐに返事をしました。
ぜひ、お願いしたいと思います。秘密保持契約の件も了解しました。打ち合わせの日時は2週間後はいかがでしょうか。
しばらくすると、矢面氏から秘密保持契約書が届きました。
第1回目の打ち合わせまでに、この契約書に署名・押印をして、送り返していただけませんか。
江戸氏は、受け取った契約書を頑張って読んでみましたが、普段使うような言葉とは違い、何が問題で、何を気を付ければよいのかさっぱり理解できませんでした。さて、江戸氏はどうすべきでしょうか。実は、秘密保持契約(NDA)を読む前の段階でやっておくべきことがあるのです。
江戸氏が取るべき対応は?
こうした時に、読者の方ならどうしますか?
江戸氏は、自動車メーカーの担当者から送付されてきた秘密保持契約書の記載と“格闘”して混乱していますが、この“格闘”作業の前に検討を済ませておくべきことがあります。そこで、次のページでは、江戸氏が考え、検討すべきことを紹介します。
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