航空エンジン部品のアディティブ・マニュファクチャリングで仏2社が提携:製造マネジメントニュース
ダッソー・システムズと仏サフラン・グループは、アディティブ・マニュファクチャリングで提携することを発表した。これにより両社では、アディティブ・マニュファクチャリングのバーチャル検証技術を開発するという。
ダッソー・システムズは2015年6月18日、仏サフラン・グループと、航空エンジン部品のアディティブ・マニュファクチャリング(Additive Manufacturing: 積層造形)で提携することを発表した。これにより両社では、ダッソー・システムズの3Dエクスペリエンス・プラットフォーム上で、アディティブ・マニュファクチャリングのバーチャル検証技術を開発するという。
アディティブ・マニュファクチャリングは、一般に3Dプリンティングと同義とされる。設計、エンジニアリング、製造、材料科学にコンピュータ・ソフトウェアを活用し、パーツやサブシステムの立体(3D)モデルを作製して、液状または粉体材料の積層化・固化により、実物を作り出すアプローチとなる。こうした製造プロセスを航空産業に導入することで、生産に要する時間の短縮、強度、重量、環境への影響などにおいて、製品パフォーマンスの向上を図るという。
今回の提携により、ダッソー・システムズの3Dエクスペリエンス・プラットフォームと、航空宇宙・防衛・安全保障分野の世界的グループであるサフランの技術を組み合わせ、アディティブ・マニュファクチャリングのためのエンドツーエンドのデジタル・ソリューションを開発する。
新プロセスは、設計・製造の上流工程である材料設計のフェーズや、下流の生産工程・検証にも適用できる。これにより、例えばエンジン向け部品では、アディティブ・マニュファクチャリングでの製造に必要な全てのエンジニアリング・パラメータをデジタル情報基盤上に集約・可視化できる。可視化できるパラメータには、材料科学、機能仕様、ジェネレーティブ・デザイン、3Dプリンティングの最適化などが含まれるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ダッソーが狙う「12×12×3」――日本で2016年に売上高500億円以上を目指す
ダッソーは、2014年の事業方針説明会を開催。12の産業別提案、12の地域別提案、3つのチャネル政策を組み合わせた成長を進め、2016年に日本での売上高500億円以上を目指す方針を示した。また同社が注力する3Dエクスペリエンス・プラットフォームにソーシャル・コラボレーション機能を加えることも発表している。 - ダッソーがアプリソを2億500万ドルで買収――グローバル製造オペレーションの管理を強化
ダッソーは、製造実行管理システムなどを展開するアプリソを2億500万ドルで買収する。設計から製造、物流まで総合的な製品プロセスの可視化と管理を実現する。 - 設計実務でしっかり使える無償2次元CADを提供
ダッソーの提供する無償の2次元CADは、設計実務で使うCADとしての編集機能を一通り備えている。2次元CADの管理コストも大幅に抑えられる。 - ダッソー、販売・マーケティングにCADデータを活用する「3DXCITE」立ち上げ
CADのデータ資産を、セールス、POS、インタラクティブ・ショールーム、チラシ、消費者向けWebサイトなど、これまで以上に幅広い用途で再利用できるようにするとうたっている。 - “体験”を軸にビジネス基盤の提供を狙うダッソー、競合CADとの連携も可能に
ダッソー・システムズは年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE FORUM JAPAN 2015」を開催。それに先立ちフランス本社の社長兼CEOのベルナール・シャーレス氏が記者会見を行い、製造業を取り巻く環境の変化と同社の取り組みについて説明した。