「図面から立体をイメージしよう」の巻:ママさん設計者がやさしく教える「図面の読み描き超入門」(1)(1/3 ページ)
ファブレスメーカーのママさん設計者が、図面にも触れたことのないような初心者向けに、図面の読み方・描き方を分かりやすく解説。各回で紹介するお題をクリアし、解説を読み進めていくことで、いつしか図面の読み描きができるようになる。
皆さん、こんにちは!
設計者と加工現場の橋渡し役として、まだまだ現役の「2次元図面」。設計者の意図が詰め込まれた2次元図面の役割と大切さをお伝えしたく、2015年5月に掲載された「ママさん設計者がやさしく教える『部品図の描き方超入門』」では、タイトルの通り、設計初心者に向けた“部品図の描き方”を読み切りスタイルでお届けしました。
「図面を描く人」が「図面を読める」のは当たり前のことなので、読み切りコラムではその部分に触れませんでしたが、そもそも図面との関わりは、「図面を読む」ことから始まります。
ネット掲示板などを眺めていると「どうしたら図面を読めるようになりますか?」といったトピックを見掛けることがあります。そんな意欲のある人を発見すると、筆者としては「こうした声に応えたい」「何かきっかけを作ってあげたい」と思うわけです。
学ぶ意欲のある人に役立つ情報を発信したいと考え、今回の新連載では、図面に触れたことのないような初心者でも各回で紹介するお題をクリアし、解説を読み進めていくことで、いつしか図面の読み描きができるようになる――。そんな内容を目指しています。
例えば、設計者でも加工オペレータでもない、アシスタント系の職種の方が本連載を通じて図面の読み描きができるようになれば、お客さまとの電話連絡や社内での伝言などから“立体をイメージしてポンチ絵でメモる”ことも可能になるかもしれません。そんなことがサラっとできたらステキだと思いませんか?
ところで、私たちはどうして「字」を書くことができるのでしょう。「学校で教わったから」という答えはもちろん正解です。そして、これは「きっかけ」といえます。また、学校では習わなかった字に出会ったとき、「これは何て読むのだろう」と辞書を引いて、読み方を知って書き順を見て、「書けそうだな」と分かれば実際に書いて覚えることもあります。このときには「動機」が加わります。「読めたんだから、書けるようになりたい」という心の動き(動機)があるから、「躊躇(ちゅうちょ)」とか「憂鬱(ゆううつ)」といった字もためらいなく爽快に書けるようになるのです。本連載も“きっかけ”だけでなく、“動機”につながるような内容にしていきたいと思っています。
2次元図面から立体をイメージする
ママさん設計者がやさしく教える『部品図の描き方超入門』では、実物を計測してスケッチし、ポンチ絵を描いてみることをオススメしました。このやり方は、立体物を2次元で表現するトレーニングですが、今回はそれとは逆に“2次元図面を見て立体物をイメージする”ことにトライします。そして、頭に浮かんだイメージを紙に描くクセを付けましょう。
実物から2次元図面を描く場合、実物を手に取って投影方向から目視した形を描き出せばよかったのですが、逆の場合は手掛かりが少なくてちょっぴり難しいので、慣れるには数をこなしていくのが一番だと思います。
ということで、お題を幾つか用意しました。お題はどれも「第三角法」で描かれた図です。この図を頼りに立体をイメージして描き出してみましょう。
お題(1)
それでは1つ目のお題です。図1から立体形状を描き出してみましょう。
正解を発表する前に、部品図の描き方超入門でも説明した、第三角法について簡単におさらいしておきましょう。
第三角法のポイントは、
- 上からの投影図はそのまま上へ置く → 平面図
- 左からの投影図はそのまま左へ置く → 左側面図
- 右からの投影図はそのまま右へ置く → 右側面図
- 形状を最もよく表している面を正面に据える → 正面図
があります(図2)。
お題(1)の図面をこれに当てはめてみると、図3のように見えるはずです。
ということで、正解はコチラになります(図4)。
キュウリの乱切りを思い浮かべてみてください。円筒状のものに斜めから刃を入れると、こんな形にカットできますよね。
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