“棚ごと運べる”無人搬送車、床面マーカー不要で自律走行を可能に:FAニュース(2/2 ページ)
日立製作所は物流倉庫などで商品を棚ごと搬送する無人搬送車向けに、搬送による商品棚の移動を検知し、無人搬送車に登録された商品棚の配置図をリアルタイム更新しながら自車の位置を認識する技術を開発した。これにより床面にマーカーなどを設置せずに無人搬送車を自律走行させることが可能になるという。
平均誤差10mmで自車の位置を認識
今回日立が開発した無人搬送車の自律走行技術は、マーカーに依存せずさらに周囲の物の配置状況をリアルタイムに検知して倉庫内の配置図を更新するため、商品棚の移動といった環境の変化にも対応できる。
日立は同技術の精度の検証に向け、一般的な無人搬送車の利用環境である70m四方の建屋内で、1m四方の商品棚が搬送により配置変更を繰り返す状況をコンピュータ上で模擬した。その中で今回開発した技術を搭載した無人搬送車が、自車の位置を認識しながら走行するシミュレーションを実施した結果、平均誤差10mmで自車の位置を認識できることを確認したという。
日立は2014年9月から部品・商品の保管棚を棚ごと自動搬送する小型・低床式の無人搬送車「Racrew」を販売している。Racrewは小型かつ低床で、棚の下に潜り込んで棚を持ち上げ、指定位置まで自動搬送が行えるのが特徴だ。現場の作業効率の向上や省人化への貢献を目指した製品だ(関連記事)。
日立は今回開発した技術をRacrewに適用し、床面マーカーを敷設していない小規模な実証スペースにて商品棚の搬送を繰り返す実験を行った。その結果、搬送によって変化する商品棚の配置をリアルタイムに配置図に反映させながら自車の位置を認識し、自律走行と商品棚の搬送作業が可能であることを確認したという。今後は今回の自律走行技術を適用したRacrewの実用化に向けた研究開発に取り組むとしている。
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