サラウンドビューに必要な4個のデシリアライザを集積、FPGAも不要に:車載半導体
Maxim Integrated Products(マキシム)は、車両の前後左右に設置した4個の車載カメラの映像を合成して車両周辺の状態を確認できるサラウンドビュー向けに、車載カメラの映像信号を受信するデシリアライザを4個分集積した「MAX9286」を発表した。
Maxim Integrated Products(以下、マキシム)は2015年7月27日(米国時間)、車両の前後左右に設置した4個の車載カメラの映像を合成して車両周辺の状態を確認できるサラウンドビュー向けに、車載カメラの映像信号を受信するデシリアライザを4個分集積した「MAX9286」を発表した。既に量産出荷中である。
マキシムは、サラウンドビューにおける映像信号の送信/受信に用いるSERDES(シリアライザ/デシリアライザ)チップセットのGMSL(Gigabit Multimedia Serial Link)製品を展開している。MAX9286もGMSL製品の1つとなる。従来、サラウンドビューに用いるデシリアライザICは、シリアライザICで処理された映像信号1系統分だけを受信するものだった。つまり、シリアライザICとデシリアライザICは1対1対応が基本だった。
これに対してMAX9286は、4個分のデシリアライザICの回路を集積しており、シリアライザICで処理された4系統の映像信号を1個のICで受信することができる。また、サラウンドビューとしての映像合成処理などを行うプロセッサに、映像信号をそのまま出力できるMIPI CSI-2インタフェースも4レーン搭載している。これまでMIPI CSI-2インタフェースに相当する回路はFPGAを用いていたが、MAX9286を使えばそのFPGAが不要になる。さらに、デシリアライザを集積することにより、サラウンドビューのために各車載カメラの映像信号を同期させるためのソフトウェアも不要になる。
加えて、既存のGMSL製品と同様に、接続ケーブルとしてSTP(シールド付きツイストペアケーブル)と同軸ケーブルの両方を利用できる。ケーブル長は15mまで対応する。
その他の仕様は以下の通り。パッケージは56端子のTQFNもしくはQFND。動作温度範囲は−40〜105℃。車載ICの品質規格AEC-Q100に準拠している。
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