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2つの「YAMAHA」がデザイン交流する理由――両デザイン部門トップに聞くクルマから見るデザインの真価(5)(4/4 ページ)

楽器のヤマハが乗り物、乗り物のヤマハ発動機が楽器という形で、それぞれのデザイン部門がアイテムを交換してデザインする「project AH A MAY(プロジェクト アーメイ)」が話題になっている。両社はなぜこのような形でデザイン交流を始めたのだろうか。両デザイン部門のトップに話を聞いた。

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どちらのヤマハもほぼ全員参加

 今回のproject AH A MAYでは、ヤマハ、ヤマハ発動機のどちらのデザイン部門でも、このプロジェクトのためのチームを選抜するようなことは行わず、参加したい人を募る自主エントリーの方法を採った。ヤマハ発動機はデザイナーだけでなくモデラー(デザインモックアップを作る専門職)も参加OKとしたそうだ。もちろん皆日常の開発業務を抱えつつアフターファイブなどで時間をひねり出しての参加が条件である。果たして蓋を開けてみたら、両デザイン部門ともにほぼ全員が参加したという。

 ヤマハ発動機のデザイン部門が発足してから初の交流イベントということの他にも、最初にアイテム交換してから最後の完成形をお互いで持ち寄るまで見せ合わないという要素なども、きっとワクワクさせて、面白そう、参加してみたいと感じさせたのではないだろうか。どちらのヤマハも1人で数案出す人が多く、最初に集まった提案はかなりの数に上った。このため選ぶのが大変だったと、川田氏も長屋氏も笑っていた。

インタビューの間笑顔の絶えなかった川田氏(左)と長屋氏(右)
インタビューの間笑顔の絶えなかった川田氏(左)と長屋氏(右)

 外部のわれわれが目にすることができるのは、コンペで勝ち上がったそれぞれの2案だけだが、川田氏と長屋氏の話を聞いていたら、途中の段階での発表会(「デザイン検討会」ではなく「発表会」と表現されていたことからも、日常業務とは違う空気が流れていたことが伺える)の様子ものぞいてみたいと思わずにはいられなかった。

 ヤマハとヤマハ発動機という2つのヤマハのデザイン部門同士のミラーリングによるproject AH A MAY。でき上がってきたプロダクトは、合同デザインイベントの名称の通り「Two Yamahas, One Passion」だったのだろうか?

 次回は、イベントで実際に展示されたプロダクトを中心に見ていきたい。

Profile

林田浩一(はやしだ こういち)

デザインディレクター/プロダクトデザイナー。自動車メーカーでのデザイナー、コンサルティング会社でのマーケティングコンサルタントなどを経て、2005年よりデザイナーとしてのモノづくり、企業がデザインを使いこなす視点からの商品開発、事業戦略支援、新規事業開発支援などの領域で活動中。ときにはデザイナーだったり、ときはコンサルタントだったり……基本的に黒子。2010年には異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。最近は中小企業が受託開発から自社オリジナル商品を自主開発していく、新規事業立上げ支援の業務なども増えている。ウェブサイト/ブログなどでも情報を発信中。



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